はじめに
企業が新卒一括採用をする際の課題の一つは内定辞退を防ぐことです。
コストや手間と時間をかけて、必要な人材に内定を出したにもかかわらず、内定辞退をされてしまうと企業にとっては痛手になってしまいます。
必要な人材が確保できない、将来の担い手を育てられない、採用にかけた時間とコストが無駄になってしまうため、内定辞退を防ぎたいということがおおまかな理由です。
企業が抱える課題を解決するために、学生からの内定辞退を防ぐための3つの方法について見ていきましょう。
そもそも内定辞退とは?
そもそも内定辞退とはどのような状態で、なぜ起きてしまうのでしょうか。
内定辞退が起こる理由や背景を理解することで、防ぐことが可能となります。
企業としては、自社を志望した就活生を信頼したいですし、必ず、自社に入社してくれそうな人を選び抜いて内定を出しているはずです。
企業の側でも、就活生が複数の企業にエントリーして選考を受けているのは了解済みです。
そのうえで、この就活生なら自社に就職するに違いないと内定を出したのに、なぜ辞退されるのか背景を見ていきましょう。
内定辞退とは「入社前に学生が承諾を取りやめる」こと
内定辞退とは「入社前に学生が承諾を取りやめる」ことです。
企業は選考を行って採用を決めた学生に対して内定を出します。
企業によっては口頭やメールでの連絡に加えて、内定書など書類で証明を出す場合や内定式を行って、すでに入社したかのような待遇を行うケースも増えてきました。
内定を出した後は課題を出したり、研修を行ったり、アルバイトとして業務を経験してもらったりと、さまざまな工夫で囲い込みをします。
にもかかわらず、入社前に学生が承諾を取りやめるケースもあるのです。
承諾を取りやめる理由の多くは他社に入社を決めたからですが、中には留学することにした、大学院に進学することにした、公務員試験を受験して追加採用に受かったという方もいます。
複数内定が当たり前の時代
内定辞退が増えている事情として、就職活動がオンライン化になったため、移動時間が減ったことも挙げられます。
移動の手間が減れば、オンラインを使って、短い時間でたくさんの企業を知ることができるようになり、より多くの企業にエントリーできます。
また、将来が不安だと考え、安心材料として内定を複数所有し、選べる状況を作りたいと考える学生が増えているのも実情です。
複数の内定企業の中から、ギリギリまで考えて、その時点で将来的にも最も有利と考えられる企業を選ぶ学生が増えてきました。
高校受験、大学受験でも、本命以外にいくつも受験して保険をかけてきたのと同様、就活でも保険をかけているのです。
複数内定を所有する学生が多いため、1社以外は自ずと内定辞退となります。
オンライン採用により内定辞退率は上がっている
オンライン採用の増加で、内定辞退率も上がっています。
なぜ、オンライン化で内定辞退が増えるのでしょうか。
これまで地方の学生は、交通費や宿泊料を考えると、都心の企業をいくつも受けにくく、ターゲットを絞って受けたため、内定を貰えたらその企業に決めるケースが多かったのです。
ですが、場所を問わず、オンラインで選考を受けられるようになり、複数の企業に気軽にエントリーできるようになりました。
一方、企業の側では、学生と実際に会う機会が減ったため、自社の本命度合いを見極めることが難しくなっています。
オンラインではグリップもしづらいため、内定承諾をしたが辞退する学生が増えているのです。
内定辞退が起こる理由
内定辞退が起こる背景と理由は同じように思えて、実はそれぞれ考える必要があります。
複数内定を得るのが学生にとって当たり前の時代となっていることや選考のオンライン化というのは、内定辞退が増えている理由の一つです。
これに対して、複数の内定を得た中で、なぜ自社が選ばれず、内定辞退されたのかの理由は、企業それぞれがしっかり分析する必要があります。
その内定辞退が起こる理由は「内定辞退 例」の記事で紹介しますので、ぜひご覧ください。
内定辞退を防ぐ方法
では、内定辞退を防ぐ方法はあるのでしょうか。
内定を得た複数の企業の中から、自社が選ばれるための方法とも言い換えることが可能です。
内定辞退を防ぐ方法として、大きく3つご紹介します。
1つはこまめに連絡を取り合うこと、2つ目はフォローイベントを開催すること、3つ目は内定者インターンを開催することです。
それぞれ、どのような特徴があり、なぜ内定辞退を防ぐことにつながるのか見ていきましょう。
こまめに連絡を取り合う
内定辞退を防ぐ方法の1つ目は、こまめに連絡を取り合うことです。
連絡が少ないと、学生は「私のことを忘れられているのではないか」と思い、別の会社を探し出すことがあるためです。
一括採用の中の一人ではなく、もっと自分を必要としてくれる企業に入社したいと他社に移ってしまうことがあります。
そのような不安を学生に与えないよう、頻繁にコミュニケーションを取り、あなたのことを考えてますよと伝えてあげることが大切です。
もっとも、毎日のように連絡をすると面倒くさがられることやパワハラ的な束縛になりかねません。
1~2週間に1回くらいの割合で、連絡を取るのがおすすめです。
フォローイベントを開催する
内定辞退を防ぐ方法の2つ目が、フォローイベントを開催することです。
内定者を集めたイベントの開催をすることで、私はその会社の一員なんだと思ってもらうことができるためです。
内定者同士の絆も深まり、同期として一緒に頑張っていこうといった意識が形成されていきます。
同期との仲間意識が形成されることで、入社に向けて気持ちが固まり、内定辞退を考えなくなる方も少なくありません。
また、他社と迷っていた方でも、同期の仲間と交流していくうちに、自分だけ辞退するのはどうかなと思い留まる方も増えます。
イベントを通じて、企業の先輩社員や上司などとコミュニケーションを取ることで、こんな職場なら安心して働けるとか、仕事の面白さを教えてもらうことでやる気も高まり、内定辞退の意識が低下するのです。
内定者インターンを開催する
内定辞退を防ぐ方法の3つ目が、内定者インターンを開催することです。
入社前に、インターンとして実業務をやらせる機会を設けるものです。
入社後にどのように仕事をするか、職場の雰囲気、先輩社員や上司と実際に接してもらって、安心して働ける、仕事をもっと覚えたい、ここで働き続けたいと思ってもらえることを目指すことができます。
コミュニケーションを取れるだけでなく、入社時に即戦力としても扱うことができるため一石二鳥になります。
一方、気を付けたいのはインターンとして業務や職場を経験することで、思っていた仕事と違った、職場の雰囲気が合わない、人間関係が嫌と、内定辞退につながることもある点は注意しましょう。
まとめ
少子高齢化で人材不足が深刻化する中、将来を担う人材を確実に確保していくためにも内定辞退を避けたいところです。
新卒一括採用の手間や時間、コストを考えても内定辞退は防ぎたいものです。
複数内定が当たり前の時代となり、オンライン採用が増えたことでも内定辞退率は上がっています。
学生からの内定辞退を防ぐための3つの方法として、こまめに連絡を取り合う、フォローイベントを開催する、内定者インターンを開催するなどがおすすめです。