ここ数年で、経団連による「就活ルール」廃止や少子高齢化に伴う労働人口の減少により新卒採用市場が変動し続けています。併せてインターンシップだけではなく、雇用を伴う長期インターンシップなどより、大学1年生より接点を持つ企業も増えてきました。
優秀層を採用に繋げるには市況を汲み取り、どのような活動を行なっているのかを考察した上で、自社の採用に落とし込まなければいけません。
その中でも注目されている、通年採用についてご紹介していきたいと思います。
通年採用とは
主に新卒採用で使われる採用活動の形態一つで、「企業が年間を通じて採用活動を行うこと」を指します。通常の採用活動とは異なり、時期を設けず自由に採用活動ができることを指します。
新卒採用において、就活時期に入る大学3年生、4年生だけではなく、大学1年生のうちからエントリーができるようになったり、留学生や海外大学出身者なども候補者としてエントリーを募れるようになります。
通年採用が取り入れられてきている背景
これまでの新卒採用では、一括採用の手法がスタンダードでした。情報公開日、内定出し日等スケジュールが組まれており、その範囲内のみ採用活動ができるという手法です。
なぜ通年採用が取り入れられているか。
1つ目は、優秀層の確保
就職活動の期間が自由化すると、就業意欲の高い就活生は早めに活動を行います。また将来のキャリアやスキルアップなどへの解像度が高く、自分の理想とする企業研究や企業選びなど、能動的に動いていることから、早めに窓口を開放しておくことで、興味を持っていただきやすくなります。
2つ目は、競争率を下げるため
1つ目に付随しますが、人気業界・有名企業・大手企業であれば、一括採用でもこぞってエントリーが来るでしょう。それ以外の企業の場合、売り手市場が続く昨今、採用予定数を確保できず苦戦を強いられる企業も少なくありません。
だからこそ通年採用を取り入れ差別化を図ることで、スタンダードの採用期間では出会えないような人材と接触し採用につなげることが可能となります。
3つ目は、企業のグローバル化
日本の市場だけではなく、海外へ挑戦していくことで市場を広げ、業績や事業拡大を狙う企業も増えてきました。その際に新卒採用にて、求められてくるスキルや経験が変わってきます。やはり英語力や語学力が必要となった際に、留学生や海外の大学生の採用経も注力していこうと考えるでしょう。
しかし留学生によっては大学4年生の秋以降、海外の大学生であれば卒業以降が就職活動のタイミングとなるため、通常の採用スケジュールの場合採用活動がクローズしてしまいます。
そのため通年採用として、広く窓口をもっておくことで、取り逃しがないようにしておくことが可能になります。
通年採用のメリット
上記の背景でもメリットを記載しておりますが、改めてご紹介していきます。
1. 通常の採用では出会えない層を獲得できる
通年採用の大きなメリットとしては、採用層が変わることです。早期より就職活動を行い、就業意欲の高い能動的な方と接触することができたり、ご本人の都合の兼ね合いにより、採用活動が遅れてしまった、体育会系・留学生・帰国子女・大学院生などからも応募を募ることが可能になります。
敢えて窓口を広げることによって、競争率を下げ入社まで繋がりやすくなることが考えられます。
2. 差別化を図ることができる
昨今、働き方や企業の柔軟性が求められる中で、市場や情勢に合わせた採用活動を行うことである種のブランディングになります。要は柔軟性の高さや、変化などを積極的に取り入れる企業という、ブランディングをすることによって、取り組む姿勢が学生目線で企業評価に繋がります。
また同業界でも大手や有名企業と差別化を図り、接触することが可能となります。ブランディングかつ、差別化を行うことで選ばれる可能性を高めることができるようになります。
3. 応募数の増加
単純に応募数の増加も見込めるでしょう。通常の採用スケジュールよりも、早く・長くなるためエントリー数が増える可能性が高いです。またその分様々な方をみることができるので、慎重に選考を進めることが可能となります。
また学生自体も急いでいる子が少ないため、選考や面談など長い時間を通じて相互で評価することが可能になります。時間をかけることによって、ミスマッチの防止や入社後のギャップを減らすことへも繋がります。
通年採用のデメリット
通年採用を行うことで、採用成功が推進するとはいえデメリットもあります。
1. 採用計画を立てにくい
スケジュールも戦略も施策も自社でマーケティングを行い、計画を立てる必要があること、また抽象機の人員計画を立てる必要があるため、市場に左右されやすい業界や採用力に不安を感じる方ですと難しいでしょう。
今後、大学1年生でも内定を保有しているという方も増えてくるでしょう。そうなった場合、入社時期を見据えて内定出しが必要となるため、将来の見通しが立っていることが大前提となります。
2. 工数がかかる
採用活動が長期化するため、人事や採用担当の体制に体力が必要となります。フォロー期間も長くなったり、常時採用活動を行っている状況になるため、連携も欠かせなくなります。
一つ一つを細分化した際に、かなり手間暇かかることが想定されます。また大手企業など採用スケジュールを変えていない企業の影響を受けるため、内定を出したまま回答が宙ぶらりんになるといったケースも考えられます。
そのため通常の採用スケジュールよりも、工数がかかってしまうでしょう。
学生にとってのメリット
学生にとっては応募できる企業が増えることが一番大きなポイントでしょう。通常スケジュールの場合、他社との説明会が被ってしまう、選考がうまく組めないなど時間的な制限がかかってしまいます。通年であればご自身のタイミングでエントリーが可能となるため、さまざまな企業を受けることができるため、就職活動において余裕を持って行動することができるようになります。
学生にとってのデメリット
一番大きな要素は「採用ハードル」が高くなることでしょう。企業も候補者の増加が見込めるため、応募者の質や採用人数に応じてハードルが変わってしまうため、一括採用で選考を行うよりもタイミングによっては、難しくなる可能性があります。
まとめ
通年採用は、人事や採用担当のリソース・体力がある企業であれば取り入れるメリットは大きいと思います。しかし曖昧な計画や戦略のもと、行ってしまうと逆にうまくいかなくなりやすい方法でもあります。
自社の採用成功に向けて一度ご検討してみてはかがでしょうか?