はじめに
コロナ禍の影響でリモートワークが普及し、今まで以上に、仕事の生産性を意識する企業が増えています。
仕事の評価方法も異なり、従来は出社すると仕事の過程も評価対象になっていました。
しかし現在ではリモートワークになり、結果で判断することが多くなっています。
そのため、企業の人事でも採用を見直す動きがあり、最近では企業の求心力を高める「共感採用」が多く取り入れられ、今後も増えてくるでしょう。
今回は企業が注目し、これからの人事に必要な共感採用に関してご紹介いたしましょう。
共感採用とは?
今、多くの企業が注目を集めている「共感採用」とは、以下の項目などに共感しているかを判断する採用方法になります。
・企業理念
・企業哲学
・ビジョン
・社風
・風通しの良
・価値観
職種や給料、福利厚生が充実している企業は増えています。
終身雇用形態が危うくなり、個人の力量が大事になってきている中、社風やビジョンを大切にする応募者も少なくありません。
企業側でも、会社の雰囲気を伝えたり、採用のミスマッチを防いだりするなどのメリットがあります。
会社の雰囲気や社風など、面談を通して応募者に伝えることで、入社前に抱いていた認識とずれが生じるのを防ぎ、結果として早期退職を防ぐことにつながるのです。
ただし共感採用には、採用に時間がかかる傾向や学生の個性の損失など、条件や待遇面を重視する応募者は採用になりにくいデメリットがあります。
共感採用が注目を集めている理由
さまざまな企業で共感採用が注目を集めている理由は、大きく分けて以下の3点です。
・会社の雰囲気を応募者に伝えられる
・採用のミスマッチを避けられる
・心から入社したい人材を採用できるなどがあります。
リモートワークの多様化が進み、インターネットを通じて、多様な情報を得られる時代になりました。
その中で、給料や福利厚生などどんなサービスを提供しているかよりも、社風やビジョンなどのやりがいを求める応募者が増えてきました。
そのため企業側も有形である給与などよりも、自社の魅力を伝え、共感できる応募者を求めるように変化しています。
会社の雰囲気を応募者に伝えられる
共感採用が注目されている理由の1つに、会社の雰囲気を応募者に伝えられることがあります。
会社の雰囲気といっても多種多様です。
風通しが良い・コミュニケーションが円滑・上下関係がないなど、やる気のある応募者ほど、自分の意見をもっている方が多いでしょう。
その意見をしっかりと取り入れ、柔軟に対応してくれることも企業を選ぶ理由の1つになります。
どんな業界でも競合他社は存在します。
その競争に勝ち抜くためには、新しい企画や新商品・新サービスなどが、他社との差別化をはかるためには必要です。
新しい案を受け入れる体制の整っている企業では、発言もしやすく、やりがいを感じ、良い意味で活発なコミュニケーションが可能となります。
たとえば、社員が誰でも応募できる新規案件プレゼン大会などが定期的に開催されると、どの立場の社員でも活躍する場ができるでしょう。
採用のミスマッチを避けられる
次に、採用のミスマッチを避けられるというメリットもあります。
企業は、時間と労力をかけて採用した応募者に、できる限り長く勤めてほしいと考えています。
ただ、入社後に実際の仕事内容に不満を感じるケースもあり、その場合は早期退職につながりかねません。
また入社してから数年後、人事異動の可能性もあり、仕事内容が変わる可能性も十分にあります。
そのときに、企業の理念やビジョンに共感し採用された方は、どの仕事に対してもやりがいを自ら見つけ、仕事をします。
ただしそうでない方は、仕事内容に不満を感じ、退職の原因にもなりかねません。
入社前に仕事に対してリアルなイメージをもつことで、応募者の感じるギャップも少なくなり、早期退職のリスクを減らせます。
心から入社したい人材を採用できる
企業理念に共感してくれた人は、仕事への意欲も高く、積極的に仕事をする人が多いです。
意欲が高い人は、入社後もモチベーションが高く、困難なことに対しても、自ら進んで仕事をする人がほとんどでしょう。
そのため、人事異動などで仕事内容が入社当初から変更になっても、変更後の仕事でどうやって会社へ貢献するかを考えながら仕事をします。
共感採用で入社した応募者は、自ら考えることも特徴の1つです。
企業理念やビジョンが明確なため、そのビジョンをどうやって実現するかを考え、仮説を立て、実証します。
また、自発的に相談などもするので、安心して仕事を任せられる人材となります。
リモートワークが普及し、管理コストや進捗確認を管理しづらくなっている今、共感採用では仕事に対する姿勢を見抜くことも、企業にとっては必要になるでしょう。
共感採用の方法とは?押さえるべきポイントを紹介
それでは、実際の共感採用はどのようにすれば良いのでしょうか。
共感採用で押さえるべきポイントは、以下3つの工程です。
・自社について言語化する
・「共感」を得るためにストーリー性を作る
・面接で共感具合を見る
言語化やストーリー性は大切です。
加えて、企業側の伝えたい内容が、相手にしっかりと伝わっているかが大事なポイントになるでしょう。
そのためには、面接で共感具合を判断することが企業側にとって大切です。
当然、応募者も同様に、面接時に共感具合を判断しています。
その点を意識して、面接を実施しましょう。
まずは自社について言語化する
応募者に対して、自社の魅力を言語化することが大切になってきます。
社風や会社の雰囲気など無形のものは、受け取る側の個人差があります。
同じことを伝えても、受け取り方によっては違う意味に感じられるでしょう。
そのため、企業側が伝えたいことをしっかりと言語化する必要があります。
また、自社の魅力を言語化する過程で、企業自体も見直すきっかけとなり、社員の認識を共通させられます。
そのため、企業説明が終わったあとの職場見学や社員への質疑応答など、どの社員が出ても企業の魅力を伝えられるでしょう。
応募者が判断する材料として、どの社員に聞いても企業理念を理解し、自らの仕事に落とし込んで仕事をすることは、入社前後でイメージの相違をなくすことにつながります。
「共感」を得るためにストーリー性を作る
言語化したあと、大切になるのがストーリー性です。
伝えたい想いやエピソードを、具体的な体験談として話すことで、より応募者の共感を得やすくなります。
たとえば営業職を望んでいる人にとっては、数字や売り上げの話以上に、お客様の意見を社内で繁栄させ、事業や商品を立ち上げた体験などが良いでしょう。
結果だけを端的に話しても、応募者の共感を得ることは難しく、採用につながりにくいです。
人に伝えるときは5W1Hを意識して話すことで、より印象も残りやすくなります。
誰が、いつ、どんな方法で、どんな順番で伝えるかを意識するとストーリー性も出てきて、伝わりやすいでしょう。
また、1つの出来事に複数のストーリー性をもたせることで、多種多様な方から共感を得られるのです。
面接で共感具合を見る
そして言語化し、ストーリー性をもって共感を得られるよう働きかけたら、企業の伝えたいことが伝わっているかどうかを面談で確認します。
企業の意図したことが応募者に伝わっていれば、あとは応募者の判断になります。
もし、異なる伝わり方をしていた場合は、誤解を招いてしまう原因になるでしょう。
そのため面談をする人事などは、企業が伝えたいことを理解し、正しく伝わっているかを判断する能力が必要になります。
判断するためには、「どうですか?」などの漠然とした質問より具体的な質問を投げかけることで、応募者がどう受け取っているかを明確にできるでしょう。
企業にとっても、ビジョンやミッション、価値観をしっかりと伝えることで、共感してくれる応募者は現れるはずです。
応募者のスキル確認も行う
共感採用だからといって、応募者のスキル確認をおこたってはいけません。
熱意ややる気があっても、基礎的な技術が備わっていなければ、入社後の教育に労力や時間を割くことになります。
そのため、「面接では何ができるのか」そして「今までの経験を活かしてどんなことで貢献できるのか」を判断する必要があるでしょう。
特に、現状の企業に対して不足している部分を補える方や、拡大を視野に入れている場合の営業力など、今までの実績も大切になってきます。
やる気や意気込みなどは日々浮き沈みがあります。
そのためモチベーションに左右されず、やるべき業務を明確にし、実現できる人を採用することで、企業の拡大につながるはずです。
あらかじめ、スキルチェックシートなどを用意しておくと、面談もしやすくなるでしょう。
共感採用を実施する際はここに注意
最後に、共感採用を実施する際の注意点をご紹介します。
共感を得るためには、自社の魅力を伝える方法も重要です。
また、即戦力を期待している企業が多いため、しっかりとスキル確認を行う、そして入社前後で相違がないよう、入社後も魅力を伝え続ける必要があります。
特に入社後は、多くの社員と話す機会があり、その都度さまざまな話をするでしょう。
そのときに、社員一人ひとりが同じ方向を向いていることが企業における最大の強みになります。
何をどう伝えるかが重要
注意点の1つ目は、伝える内容の選択だけでなく、その伝え方によっても、応募者の認識は大きく変わるということです。
そのためには、ストーリー性をもたせることが重要です。
企業の結果だけを伝えるのであれば、スライドや企業のホームページからでも確認できるでしょう。
その結果を得るために、どんな過程を経て、どんな努力をし、具体的にどうやって達成したかを伝える必要があります。
先ほども述べましたが、そのとき重要になるのが5W1Hです。
いつ、誰が、どこで、どんな内容で、どんな方法で達成したかを明確に話せることが、共感を呼ぶポイントになるでしょう。
そのためにも、普段から5W1Hを意識した会話や会議を実施することで、この手法が社員にも浸透します。
共感度だけで判断しない
2つ目は、共感採用はあくまで戦力となる社員を採用するためのものです。
共感だけはあるが、スキルがともなわない人を採用しないよう注意しましょう。
企業がどんな状態にあるかを把握し、どんなスキルをどのレベルまでもっていて、仕事に落とし込める人材かどうかを重要視してください。
たとえばWebスキルでは、自分でコマンドを書ける・ホームページの作成経験があるなど、スキルを判断する目安は事前に決めておくと良いでしょう。
そのうえで、プラスのスキルがあれば任せられる仕事の範囲も広がり、入社後も期待できる存在となります。
また、面接の時点では必要なスキルが備わっていないとしても、入社後の努力次第でスキルが身につく可能性もあるでしょう。
その場合は今までの経験や、どんな方法でどういった結果に至ったかを聞くことで、その人の能力を推しはかれます。
仕事内容は異なっても、仕事へのアプローチ方法にそこまで違いはありません。
目標を達成するための考え方をしているかが判断できれば、入社後も活躍できるはずです。
入社後も魅力を伝え続ける
入社後、採用時に伝えた魅力が実際にはなかった、と思われてしまうと退職につながってしまいます。
そのため、入社後も魅力を伝え続けることで、企業への信頼は深まるでしょう。
ただ、あからさまに自分の会社の魅力を伝えると、かえって逆効果になる可能性もあります。
そのため、面接時に伝えた内容を補足する形で伝えられると良いでしょう。
たとえば、面接時に風通しが良い社風と説明したとします。
実際に上司と部下の関係性を見せることで、入社前後の認識に相違がなくなり、応募者自身も意見を言いやすくなります。
特に、入社後3ヶ月くらいはやる気のモチベーションが高く、その時期はイメージの相違を感じやすい時期ともいえるのです。
また、定期的に面談しながらアナログなコミュニケーションを意識することで、お互いの認識のずれも少なくなります。
まとめ
企業にとって、人を採用する際にかける時間や労力は相当なものを必要とします。
採用活動において、共感採用がすべてではありません。
しかし、大手企業などでも終身雇用を実施していない今、企業理念やビジョンが重要視され始めています。
常に続く競争社会において、企業が成長し続けるためにも、しっかりとした人材を確保する必要が出てきます。
まずは、自社の魅力を言語化し、ストーリー性を作成するところから始めてみると良いでしょう。