成長促進や離職防止の鍵!フォローアップとは一体何をすればいいのか?

はじめに

人事分野で「フォローアップ」の必要性が認識されるようになりました。

フォローアップという言葉自体には、特定のことを徹底させるためサポートやケアを行うという意味があります。

一度実施したことの効果を確認し、さらに強化を図るという意味もあり、これが企業人事において発揮されることが望ましい風潮となっています。

果たして企業の人事分野では、どのような考えでフォローアップ体制を整えれば良いのでしょうか。

何をすべきか、何を目指すべきか、具体的な実施内容について解説します。

フォローアップとは?

企業内における人事的なフォローアップは、研修や実践後に理解度やスキル向上などを把握し、サポートを行うことを指します。

実際の浸透度合いを把握したうえで、効果の最大化を行うための補助やケアだと理解すれば良いでしょう。

社内研修や訓練といったテコ入れはこれまでも多くの企業で行われてきましたが、そこからもう一歩踏み込んで、その成果まで追う点に特徴があると言えます。

経営陣の中には、「研修を実施したが実績に結びついているかわからない」と考える向きもあります。

また、せっかくコストをかけて実施しても、教育した若手社員の離職率が高いといった悩みも尽きません。

フォローアップはこうした経営の悩みに応えるため、一定の時間を置いて実施するサポートだと言えます。

フォローアップの目的

フォローアップには具体的な目的がいくつか挙げられます。

企業がフォローアップを行う根本的な理由は、従業員の帰属意識を高めることと生産性を向上させることです。

自社の人員に技術や専門知識を学ばせることで実務の成果につなげるのは当然なのですが、それ以上に現在注視されているのが離職率を低下させるという目的です。

内容を詳しく見ていきましょう。

社員の成長

社員教育や社員研修は、以前から多くの企業で実施されて来ました。

その目的は社員の成長であり、実務においてスキルアップすることで業績に貢献してもらうためです。

フォローアップはこうした研修後の落とし込みなど、社員の成長速度を速める目的で実施されます。

学びがどれだけ定着しているか、実際に効果測定する意味合いがあります。

離職防止

現在多くの経営者が頭を抱えるのが、若手の離職の問題です。

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、平成29年3月卒業者の状況は就職後3年以内の離職率が大学卒で32.8%、高校卒で39.5%となっています。

新入社員ほど離職率は高く、特に入社3年まではフォローアップが重要であることがわかるでしょう。

(厚生労働省 新規学卒者の離職状況 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html

原因は人間関係、仕事が合わない、条件が悪いといった内容で、多くのケースでフォローアップが可能でしょう。

現状の悩みなどを人事が把握し、離職を未然に防ぐ必要があります。

研修ノウハウの蓄積

研修制度は、単に教える側から教えられる側へ一方通行で情報を与えるような学校制度ではありません。

研修という場においてさまざまな現場からの意見をもとに、都度研修内容のブラッシュアップを行うことが企業にとって何より重要です。

このことで現場がより改善され、次の世代へ効果的なノウハウを伝授し、業績向上へつなげる道が作れます。

自由な意見交換により風通しの良い職場環境を構築することも、フォローアップの目的の一つです。

フォローアップの重要性

フォローアップの重要性としては研修を受けて終わりではなく、フォローを行うことでアウトプットの機会や業務を始めた上での課題や問題解決、PDCAを回す機会として設けることによって、個人へ落とし込むことができるようになります。

特に新卒の場合、業務遂行や研修内容のアウトプットは個人差が出るため、一人一人に合わせたフォローを行うことで無理なストレス負荷をかけず、成長の方向性を指し示すことで、パフォーマンスの向上が見込めるようになります。

そうすることによって離職防止に繋がり、会社全体的に新陳代謝を持たすことができるようになります。

フォローアップの具体的な方法

それでは実際にフォローアップを実践するにあたり、どのようなタイミングで実施すれば効果的かをまとめてみましょう。

常に従業員すべてに目を配るというのは現実的ではありませんし、あまり頻繁では従業員側も参加モチベーションが下がってしまいます。

必要な時に必要なところにフォロー体制があると従業員のすべて感じられることが、最も重要だと言えます。

研修後のフォロー

研修はそれぞれの現場を離れた場で実施されるため、どうしても非日常的な感覚に陥りやすいです。

多くの場合、研修は研修であって現場は別という感覚になってしまい、せっかく学んだことや気づきが日々の仕事に活かされない状況になります。

そのため、日常に戻ってから参加者にフォローを行うことで、実践につなげる支援をすることが必要です。

実際には、メールや研修レポートの送付を行うことや必要であれば事後課題の提出を求めるのも有効でしょう。

研修の振り返りを忘れずに行えるよう、日常業務に戻ってからのリフレクションを促すため研修後のフォローアップは必要です。

参加者一人ひとりへの対応は人事的にかなり手間はかかりますが、参加者から意見や問題点などを収集し、より詳細なフォローを心がけましょう。

人事との定期的な面談

人事との定期的な面談は、主に新入社員の職場環境や仕事状況などを確認するために行われます。

一人ひとりの悩みや課題を人事がヒアリングすることで、定着率向上が期待されています。

新入社員に限られることではありませんが、入社間もない場合、環境に馴染めなかったり適切なコミュニケーションを取れる相手がいなかったりするためサポートが必要です。

悩みを早い段階で把握するには日々の会話だけでは困難であり、人間関係が悩みの原因であれば周囲に話せる人物はまずいません。

同じ環境でも悩みは人それぞれのため、マンツーマンで丁寧に話を聞くフォローアップ体制が必要です。

新入社員の置かれている状況は日々変化するため、定期的にスケジュールを切ってサポートする必要があります。

メンター制度

メンター制度は、知識や職業経験のある先輩を「メンター」として、後輩である「メンティー」に幅広いサポートを行う制度です。

同様の仕組みで名称の異なる制度を導入している企業は少なくありません。

メンターは組織内にいる身近な相談相手であり、日々細やかなアドバイスができる制度として期待が高まっています。

フォローアップ体制の中では最もタイミングに関わらない手段ですが、おおむね入社2年目程度までフォローアップすることが多いです。

近年では職場の人間関係が希薄化し、社員同士のコミュニケーション量も減っている傾向にあります。

メンターは職場で最も真似のしやすい相手であり、新人が将来の自分像を描く際のロールモデルになる存在と言えるでしょう。

いつフォローアップを行うのか

フォローアップを実施するには、いつどのように行うかもポイントです。

一般的には、研修を受けた後実際の業務につながるかどうか振り返りを促すための研修後実施、新人が職場に対して課題を感じているか知るための入社後実施が主な起点となります。

ただ、会社の方針や周りの状況なども関わりますので、しっかりと見極めたうえでフォローアップを行いましょう。

入社3ヶ月後

新入社員は一般的に入社時が最もモチベーションが高く、社会人としてさまざまな初めての経験をする中で、毎日があっという間に過ぎ去っていきます。

ただ、そのテンションも3ヶ月を過ぎたころにグッと落ち着き、ある程度業務にも慣れてきたことでいろいろ悪い方向に考える時期に突入しがちです。

もちろん、そのままの高いモチベーションを維持している社員もいますが、マイナスに振れてきやすい時期のため、入社3ヶ月後はフォローアップを実施する最初のタイミングと言えます。

しかし、あまりにも短期間での実施になるため、あらかじめ3ヶ月間での達成目標を設定しておく必要があります。

業績に関わるような大きな業務に携わることはまずありませんので、社会人としての心構えや仕事の進め方を把握するなど、基本的な知識を獲得する程度になるでしょう。

それらを押さえながら、環境に関する課題や悩みをヒアリングする必要があります。

入社1年後

入社して1年間働いたうえで、どのような変化があったかを把握するために実施します。

成長度合いを自分で知り、客観的にまとめる機会を与えることになるのです。

ただし、この時期になると、かなり高い確率で悩みや課題を抱え始める社員が多くなります。

この場合のフォローアップとしては、同じような課題や悩みを抱える同期の存在を活用するのも一つの手段です。

研修の場を設けてお互い刺激を与え、ほかの職場やほかの人の考え方や取り組みを知ることで切磋琢磨し合える環境づくりが可能となります。

フォローアップのポイント

人事がフォローアップを実施する際のポイントは、すべて計画的に前もって準備しておくことです。

人は一人ひとり千差万別で、特に新人ともなると、同じ環境でも考え方や捉え方が大きく異なることも珍しくはないでしょう。

それでも企業組織である以上進むべき道筋は一つであり、企業理念を実現し事業を発展させるためにつながっていなければなりません。

それではどのような点を心がけ、実施すべきなのでしょうか。

最初にゴールのすり合わせを行う

フォローアップの目的を、対象者とあらかじめすり合わせておくことが重要です。

研修にしろ面談にしろ、それが何のために実施され、どこを目指したものなのかは明確にしておかなければなりません。

最初に旗を立てておくことで、本人も人事も横道に逸れづらくなります。

実施するのは社員の現状や時々の思いを確認することですが、その先には仕事に対してモチベーションを持って取り組む姿、思い描いているキャリアプランを実践する姿がなくてはなりません。

こうしたゴールを最初に明確にすり合わせておくことで、もし問題なく仕事にやりがいを感じていたとしても、さらに成長するためにはどうすれば良いかを考えられるようになります。

課題やストレスに対しても原因を掘り下げて確認し、改善策を持つことで次につながる行動を見出すことが重要です。

1人の意見ではなく複数意見を参考にする

フォローアップ面談などではマンツーマンである場合もありますが、判断を行う際には1人の意見だけでは見解が偏り、解釈が含まれてしまう可能性があります。

特に職場環境の悩みや人間関係のトラブルを解消するには、人事は複数人の意見をもとに判断していくことが必要不可欠です。

一方通行の思い込みや固執した考え方が障壁になる場合もありますので、フラットな目で見る訓練をしましょう。

また、問題解決は重要ですが主題ではなく、本人がありたい姿に近づくために何をすれば良いかを共に考えることが主題だと忘れないことです。

各回で実施した内容を残しておく

前回の情報をもとに次回のフォローアップを実行することで、対象者から「しっかり見てくれている」と感じてもらうことができます。

以前も話したことをまた一から説明させられたとすれば、相手に信頼を感じる人はいません。

また、フォローアップはPDCAを回す必要があるため、振り返りは非常に大切です。

各回で実施した内容を記録しておくことは振り返る材料として有効ですし、フォローアップのノウハウやテクニックを蓄積する手段にもなります。

まとめ

フォローアップの実施は、近年企業内人事でも重要視されています。

入社3年以内の離職率が非常に高いことも関連していますが、職場環境の問題や悩みを早い段階でヒアリングすることで、手痛い離職を避けられる期待があるのです。

研修において得た知識や技術を実務に活かすため、効果を最大化するサポートでもありますし、従業員がトラブルや仕事上の悩みを抱えていないかを確認する場でもあります。

いずれにせよ企業理念を実現し、業績向上につなげるための行為ですので、しっかり計画的に実施することが重要です。

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