はじめに
毎年当たり前のように新卒採用をしている企業と異なり、今年から新卒採用を始めようとしている企業やしばらく新卒採用をしておらず、再び新卒採用に踏み切る企業、さらには最近の就活制度の見直しに追いついていない企業など、新卒採用に出遅れた場合、どうすれば良いのでしょうか。
他社が既に新卒採用を進めている中で、就活の後半になって、これから新卒採用を始める時の3つの対処法をご紹介します。
出遅れた場合の対処法
新卒採用に出遅れた場合の対処法として、就活後半戦になって、これから新卒採用を始める時の3つの対処法をご紹介します。
その3つの対処方法とは、「母集団を形成する必要がある」こと、「採用ハードルを下げる」必要があること、「コストが上がる」ことを理解しておくことです。
それぞれの対処方法について、詳しく見ていきましょう。
母集団を形成する必要がある
出遅れた場合の対処法の1つ目は、母集団を形成する必要があることです。
後半になればなるほど、すでに企業を選んでエントリーを行い、選考も進んでおり、中には内定をゲットしている学生もいるため、就活生を集めるのが難しくなります。
一方、自社が求める人材を採用するには、たまたま応募してきたような学生だけでなく、ある程度の人数の中から厳選したいところです。
そのためには、一定レベルの母集団を形成しなくてはなりません。
もっとも、自社のHPで求人を出しても気づかれないことも多いため、応募者を少しでも多く集めるために、複数のサービスを利用して集客を実施していくことが大切です。
就活サイトや求人サイト、複数の紹介サービスの利用、大学の就職課への案内などを通じて積極的に応募者を募りましょう。
採用ハードルを下げる
出遅れた場合の対処法として、採用ハードルを下げることも一つの方法です。
後半の就活生は「こだわりが強い」、「あまりスムーズに話せない」などネガティブな面で落ちてきた学生が少なくありません。
そのため、求めているターゲットと会える可能性が少なくなるのは事実です。
そこで、採用ハードルを下げることも念頭に置いておく必要があります。
TOEIC○点以上で、○○の経験がある人など複数の条件を満たす人材にこだわるのではなく、求める人材の条件に優先順位をつけ、妥協できる条件は妥協するなどハードルを下げることで、少しでも採用ターゲットを増やす工夫をしましょう。
コストが上がる
出遅れた場合の対処法として、コストが上がる点は覚悟しましょう。
後半になれば、就活生も内定を獲得して就活を終了する人が増えていきます。
そのため、前半と比べると母数が圧倒的に少なくなるため、自ずと採用コストは上がってしまうためです。
早くから行えば、就活サイトへの掲載とエントリーだけで良く、コストも少なく済んだのが、母集団を集めるために複数の紹介サービスを利用し、採用した人数分の成功報酬を払わなくてはならないケースもあります。
人事担当者が地域の大学などに訪問するなど、交通費をはじめ、人件費もかかることになるので、後から始めるほどコストアップが懸念されます。
出遅れることで起こるメリットとは?
出遅れると母集団が減り、選べる学生のレベルや質が下がり、コストもかかると聞いて、やはり今期の新卒採用はあきらめるかと躊躇してしまう企業もあるかもしれません。
一方で、出遅れることで起こるメリットもありますので、それも踏まえたうえで、今からでも新卒採用に踏み切るかを検討しましょう。
出遅れることで起こるメリットとして、「大手に落ちた学生の集客が可能」、「競合とのバッティングが減る」、「内定辞退が起こりにくい」点が挙げられます。
大手に落ちた学生の集客が可能
出遅れることで起こるメリットとして、大手に落ちた学生の集客が可能になる点が挙げられます。
6月以降は大手の選考が終了しているため、大手に落ちた学生が就活を再スタートしている可能性が高いです。
そのため、大手志向の高学歴な学生ややる気がある学生、就活対策のためにマナーや礼儀を身につけ、業界研究や職種の研究などもしっかり行ってきた学生が少なくありません。
大手の内定はもらえなかったものの、ある程度のレベルが期待できる学生をピンポイントで狙った集客をするのもおすすめです。
もっとも、大手志向の学生に応募してもらえるよう、企業の魅力をいかにアピールしていくかを
考えることも欠かせません。
競合とのバッティングが減る
出遅れることで起こるメリットの2つ目は、競合とのバッティングが減ることです。
競合他社は通常、早期から採用を実施しているため、後半になれば採用を終了していることがほとんどです。
そのため、同業とのバッティングが少なくなるため、採用につなげやすくなります。
もちろん、すでに同業他社やライバル視している競合他社に、優秀な人材を採られているのは確かです。
もっとも、業種は同じでも、社風が異なり、求める人物像が違うなどであれば、まだまだ、満足できる人材を出会えるチャンスはあります。
競合他社と同じ時期に選考を行うと、自社にマッチする人物も他社に流れて、エントリーしてもらえない場合もありますが、他社に落ちた人などが応募してくれる可能性が高まります。
内定辞退が起こりにくい
出遅れることで起こるメリットの一番は、内定辞退が起こりにくいことです。
納得できる人材を採用でき、内定まで出せればの話ですが、早期に内定を出したケースと比べると、内定辞退が起こりにくいです。
就活生にとっては、散々、落ちて、ようやく得られた内定であるケースも多いので、内定を辞退するケースは稀になります。
入社までの期間も短くなるため、辞退する可能性は少なくなるのです。
その意味では安心感があります。
内定を早く出して内定辞退が起こると、そこからまた、採用をやり直すことや定員が欠けた状態で新年度を迎えるなどするケースもあるので、その意味では安心です。
来期は同じことにならないような対処法
今期は出遅れてしまった以上、時を戻すこともできず、出遅れた場合の3つの対処法を踏まえつつ、出遅れることで起こるメリットを活かすしか方法がありません。
ですが、やはり、出遅れると不利だな、面倒だな、コストがかかるなと反省したのであれば、来期は同じことにならないような対処法を採ることが必要です。
その対処法とは、当たり前ですが「早期から採用を実施する」か、今期のように「後半から採用にブーストをかけると割り切る」ことです。
早期から採用を実施する
来期は同じことにならないような対処法として、当たり前の方法かもしれませんが、早期から採用を実施することが大切です。
もっとも、今期で出遅れて採用が遅れてしまっている分、今期と来期を同時に動かす必要も生じます。
そのため、人材のリソースがないと厳しくなります。
人材のリソースがあるなら、来期は出遅れないよう、今期とは別のチームを組むなどして、すぐにでも来期に向けた新卒採用計画を立てて、取り組みをスタートさせましょう。
リソースが足りない場合は、今期の採用を行いつつ、紹介サービスの担当者に来期の新卒採用のアドバイスを受けるなど、並行しながら少しずつでも来期に向けた準備を進めていくことが大切です。
後半から採用にブーストをかけると割り切る
来期は同じことにならないような対処法として、採用を始める時期は今期と大きく変えることなく、今期とは違いバタバタと始めるのではなく、後半から採用にブーストをかけると割り切る方法もあります。
早期採用はあえて実施せずに、後半に割り切るのも一つの手です。
ただし、今期はたまたま出遅れてしまい、手段も限られていましたが、来期は意図的に後半に回すので、そのための準備や計画をしっかり行うことが大切です。
集客さえできれば、うまく採用につなげられる可能性が高いので、後半でも集客できる方法や手段を検討していきましょう。
企業の魅力をアピールし、後半でもエントリーしたいと思う学生を増やしておく、紹介サービスや大学の就活課にあらかじめ求人を出しておくなど先手は打つ必要があります。
まとめ
新卒採用に出遅れた企業が、就活後半のこれから新卒採用を始める時の3つの対処法として、「母集団を形成する必要がある」、「採用ハードルを下げる」、「コストが上がる」点を押さえておかなくてはなりません。
出遅れることで起こるメリットとして、「大手に落ちた学生の集客が可能」、「競合とのバッティングが減る」、「内定辞退が起こりにくい」点です。
一方、来期は同じことにならないような対処法として、「早期から採用を実施する」か、「後半から採用にブーストをかけると割り切る」選択をしたうえで、今期のようにならないよう事前準備を行うことです。