はじめに
新卒採用のエントリーを受け付ける際や面接の案内をする際に、学生から「交通費の支給はありますか」という質問が意外に多いとお困りではありませんか。
他社が払っているなら、うちも支払わないと学生に逃げられるかなと不安になるかもしれません。
もっとも、コストになるので、実際どのようにしたら良いかわからない方に向けてご紹介します。
新卒採用で交通費を支給すべきか、交通費支給の方法やいくらまで支給するのか徹底解説します。
いくらまで支給するのか
もし、新卒採用で交通費を支給するとなればいくらまで支給するべきなのでしょうか。
結論からいうと、支給するならば実費を全額支給することが多いです。
もっとも、すべての学生に支給するというわけではありません。
一定の基準を設け、遠方から面接を受けに来る学生に限定するケースがほとんどです。
近隣に住んでいる学生にまで全員支給していると、採用人数の多い企業ではかなりのコスト高になってしまいます。
交通費が支給されるからという理由で、滑り止め受験されても困ります。
実際のところ、交通費が支給されるかを質問してくる学生は、地方の大学に通う地方在住の学生が都心の企業の選考を受けるなど、遠方から面接のためにわざわざやってくるケースが多いため、一定のエリアのみと限定しても問題はありません。
支給する基準
企業として経費が出るわけなので、あらかじめ支給する基準を明確に定めておかなくてはなりません。
どんな基準で支給するか迷う企業もあると思いますが、よくある基準が遠方から選考を受けに来る場合、一定レベル以降の選考の場合です。
地方の大学や企業所在地から離れた場所に暮らしている学生でも優秀な学生はたくさんいます。
そんな学生を獲得する手段として、各社でかけられるコストを踏まえ、明確な支給基準を定めていきましょう。
遠方から選考を受けに来る場合
支給する基準でよくある基準の一つが、遠方から選考を受けに来る場合です。
たとえば、現在は北海道や沖縄の大学に通っている学生が、就職は東京でしたい場合、逆に東京の大学に通っている学生が就職は地元でしたい場合といったケースが挙げられます。
親元を離れ、遠方の大学で学ぶ学生も多いですし、就職先も一人暮らしを前提に場所を問わず希望する企業を選ぶ学生も多いです。
地元へのUターン就職や最近注目されているIターン就職の学生もいて、新幹線や飛行機の使用をはじめ、交通費を抑えたいと何時間もかけて夜行バスに揺られてくる学生もいます。
学生は仕送りも限られていて、社会人とは異なり使えるお金の余裕がない学生さんも多いため、遠方の学生に交通費を支給することで、多彩な人材や有能な人材の発掘につながります。
一定レベル以降の選考の場合
支給する基準として、一定レベル以降の選考の場合からとするケースがほとんどです。
説明会、一次選考などは受ける人数が多いので、二次面接以降から支給するというものです。
二次面接も全員が対象ではなく、遠方かつ二次面接以降からなど、複数の基準に該当する方のみとする企業が多くなっています。
また、最近ではオンライン面接を実施する企業が増えてきました。
オンライン化により、遠方の学生の応募率も増えています。
オンライン化している企業でも、最終選考のみを対面で行い、その際の交通費を支給することが多いです。
このように支給する基準は遠方、一定レベル以降の選考がキーワードになります。
企業によって状況は異なると思いますので、これらの基準を参考に自社の基準を明確に設定しましょう。
注意点
支給基準に加えて、支払う際の注意点も基準化しておくことがおすすめです。
不明確な基準で支給をスタートさせてしまうと、学生の間に不公平が生じたり、支払う必要のない交通費を支給してしまったり、払い過ぎや支給不足など、さまざまな問題が起こるからです。
支給する際の方法として定めておきたい注意点として、公共交通機関以外の支給はしないこと、領収書は必ず受け取ること、一般的な経路の順序と金額を把握しておくことなどが挙げられます。
公共交通機関以外の支給はしない
会社の場所が公共交通機関が走っていない、電車やバスの便がほとんどないといったケースを除き、基本的には公共交通機関以外の支給はしないとするのが一般的です。
マイカーやバイク、タクシーの利用なども支給対象にしてしまうと、ガソリン代の支給など支払額が不明確になる場合やコストが跳ね上がる原因となるからです。
そのため、支給条件については事前に学生に伝えておくことが求められます。
鉄道、バス、飛行機などが挙げられますが、各公共交通についてもグレードがあるため、学生ごとに支給条件がマチマチにならないよう、あらかじめ、細かく設定しておきましょう。
鉄道は新幹線や特急利用もOKか、グリーン車も含めるか、バスは路線バス、高速バスを問わないのか、飛行機はエコノミークラスの代金が上限など、支給条件も明確化が必要です。
領収書は必ず受け取ること
支給する際の注意点として、領収書は必ず受け取ることも必要です。
実際には使っていないのに使ったと言われる場合や夜行バスで交通費を抑えながら新幹線代を請求されるなど、金額をごまかして報告するリスクも想定しておきましょう。
支給する前に、証明として必ず領収書の提示を受けて回収します。
もっとも、一般的な鉄道や路線バスなどは領収書が発行されません。
鉄道のICカードを使っている場合には、履歴印字をしてもらうことで領収書代わりに確認が可能です。
ですが、ICカードなどもない場合は、どうしたら良いでしょうか。
領収書が得られないケースでは、使用した交通機関名と路線、実際に支払った額をすべて申告してもらい、会社側で乗り換え検索や交通機関各社のホームページなどから、利用した区間の料金を調べて照合したうえで支払うなど、基準を検討しておきましょう。
一般的な経路の順序と金額を把握しておく
注意点として、一般的な経路の順序と金額を把握しておくことも必要です。
会社に来るためにさまざまな経路がある場合は、最低金額の運賃を把握しておくことで、過剰支払いや余計なコスト負担を防げるからです。
とはいえ、鉄道マニアや飛行機によく乗る人など交通機関に詳しくないと、初めての場所から自社までどうやって来れば良いかはわかりません。
今は乗り換え案内など便利なツールがありますので、信頼できる乗り換え案内ツールを活用しましょう。
自社で従業員への通勤や出張時の交通費の確認を行う際に使っているツールがあればそれを使います。
また、新幹線であればグリーン車など金額が上がるプランもあるため、どのくらい交通費がかかりそうか、事前に対象となる学生に確認するなどしましょう。
学生にとっても、どのルートを使えば確実に支払ってもらえるのか迷うケースがありますので、事前のすり合わせも検討に値します。
支給する時の具体的な方法
支給する時の具体的な方法として、基準と流れを決めておきます。
一般的な流れは、領収書を提出してもらう→支払証明書にサインしてもらう→交通費を渡すです。
確認が必要なので、流れとしては面接に訪れた際に学生から領収書を回収し、面接を受けている間にルートの確認や金額の精査を行い、帰る際に支払えるようにするなど、流れも決めておきましょう。
領収書を受け取って即支払うと、ルートや金額の精査ができませんので、作業時間を確保することが必要です。
領収書を提出してもらう
支給する時の具体的な方法として、領収書を提出してもらい、それを確認したうえで支払うようにします。
交通機関によっては領収書が発行できない場合もありますが、領収書の発行を受ける際は「会社名」を記入してもらうよう事前に説明しておくことも必要です。
領収書が得られない交通機関についての対処法も明確にしておいてください。
路線バスなどでは領収書の発行が難しい場合も少なくありません。
ルートを記載してもらい、その実費を払う、最低料金を支払うなど、領収書を代替する手段も事前に決めておきましょう。
支払証明書にサインしてもらう
支給する時の具体的な方法の2ステップ目として、領収書の確認後に支払証明書にサインしてもらうことが必要です。
領収書を確認し、支払証明書を作成したうえで、支給対象となる学生本人にフルネームでサインをしてもらうことで、学生が交通費を受け取ったという証明になります。
かつては印鑑を持参してもらう企業も多かったですが、今の時代は印鑑も古いですし、サインで十分です。
日付と氏名、必要に応じて住所や大学名などを記入してもらい、本人であることを明確化すると安心です。
支払証明書にサインをもらうことで、後日受け取っていないなどの支払いトラブルを避けることができます。
交通費を渡す
領収書を受け取って、ルートや金額が支給基準や条件に見合っているかの確認を行い、金額を記載した支払証明書にサインをもらえたら交通費を渡します。
基本的には面接当日に現金払いが基本です。
もっとも、近年はキャッシュレス化の動きもあるので、オンライン送金などほかの方法で対応したい場合には、事前に学生とのすり合わせや案内が必要です。
まとめ
学生から「交通費の支給はありますか」という質問を受けて困っている場合、新卒採用で交通費を支給する場合の検討と基準づくりが必要です。
支給する基準として、遠方から選考を受けに来る場合、一定レベル以降の選考の場合に限定したうえで、実費もしくは最短ルートにおける最低料金を全額支給が基本となります。
公共交通機関以外の支給はしない、領収書は必ず受け取ること、一般的な経路の順序と金額を把握しておくことも大切です。
支給する時の具体的な方法として、領収書を提出してもらう、支払証明書にサインしてもらう、交通費を渡すという流れを実践すれば基本的には問題ないでしょう。