【人事向け】採用ターゲットの決め方!重要な理由、6つの決定方法を解説

採用におけるターゲット(人材要件)とは?

ターゲットとはねらいを定めるという意味です。

採用にあたってターゲットを設定する際には、あらかじめ雇いたい人材のイメージを明確にしておく必要があります。

企業として欲しい人材を一定の層に絞って、それにあてはまる人を募集しましょう。

もちろんターゲットなしに求人を出すことも可能です。

しかし、採用における人材要件は、どの企業もある程度もっているものです。

どんな人材でも良いというパターンはなかなかないでしょう。

たとえば、学歴がある程度ある人や経験が豊富な人、技術をある程度もっている人、資格を持っている人など、条件はいくつでもあげることができます。

企業として求める人材に関する条件を考えて設定することを、ターゲット(人材要件)といいます。

採用にはターゲット設定が重要!その理由とは?

新たな人材を採用するにあたり、重要なポイントの1つといえるのが「ターゲット設定」です。

ターゲットを設定せず、条件も簡単にして募集をすれば、人材はすぐに見つかるかもしれません。

しかしこれから社員として働いてもらう人材を探すにあたって、スピードがすべてではないはずです。

これから一緒に働くスタッフとしてどのような人材が欲しいのか、一度考えをまとめてみるのが良いでしょう。

それでは「ターゲット設定」がなぜ重要なのか、理由を考えてみましょう。

社員の定着率向上につながる

社員として長く勤めてもらうことは、非常に重要な条件です。

ターゲット設定をすることで、社員の定着率向上につながります。

こちらが人材に求める条件をしっかり求職者に向けて提示することで、どのような仕事をすればいいのか相手も理解できます。

すると、実際に働き出したときに仕事に関するイメージとのギャップが少なくなり、社員の定着率は上がるはずです。

企業側としてもターゲット設定をすることで、社員の技術力のギャップに悩まされることはなくなるでしょう。

求職者の視点に立った意思決定ができるようになる

採用ターゲットを考えることで、もしもこの企業で働いたときにどうなるか、求職者の視点に立って考えることができるはずです。

条件にあてはまらない人が働いた場合は仕事もうまくいきませんし、本人がつらいだけだと容易に予想できます。

その一方で、条件にあてはまる人が応募した場合、どんな風に働き、企業に貢献できるのか予想できるでしょう。

それを相手に伝えることで、求職者も働き方を想像できるので、一石二鳥です。

結果的にターゲットを設定することで、こちらも求職者の視点に立って意思決定できるという利点があります。

求職者のニーズを顕在化できる

求職者にも望んでいる働き方があります。

実際に働いてみないとわからないことは意外と多く、求人情報を見ただけではなかなかわからないです。

しかし、ここで企業側がターゲット設定をすることで、お互いのアンマッチを防げる確率があがります。

企業からの情報が明確になるほど、求職者も自分のニーズと比較することが可能になるのです。

それにより求職者のニーズが顕在化し、企業は理想の人材を獲得でき、求職者は理想の働き方が期待できます。

より良いアプローチ方法が見つかる

採用ターゲットを決定することで、どのようにアプローチすればいいのか考えることができます。

単純に学生アルバイトを探したい場合の例を見てみましょう。

ネットの求人サイトなどで、働きやすそうなアットホームな雰囲気をアピールすれば、学生の目に留まるでしょう。

次に、ある一定の資格や経験がある人を募集する場合の想定をしてみます。

学生のアルバイト募集と同じスタイルでは、自社に適した人材の目に留まらないでしょう。

ここで働いた場合にどのような働き方ができるのか、どのような待遇で働けるのか、ターゲット設定をすることで、充実させるべき情報の質が考えられるはずです。

アプローチ方法は人材を募集するうえで意外と重要なポイントです。

しっかり考えていきましょう。

採用プロジェクトのメンバー同士で認識合わせができる

採用プロジェクトを進めるメンバーが複数名いた場合、それぞれの認識をすり合わせておくことは非常に重要なポイントです。

それぞれの認識にずれがあった場合、人材を雇ったときにその認識のずれが原因となり、問題が起きる可能性もあるためです。

ターゲット設定をすることで、採用プロジェクトのメンバー同士で認識を合わせられます。

これは、求人として出すにあたり、ターゲットについて言語化することになるので、認識を合わせるのも難しくないはずです。

情報を共有して、採用プロジェクトのメンバー同士の認識をそろえていきましょう。

採用ターゲットの決め方!6つの方法を解説

これから採用ターゲットを決めるにあたって、どのように進めたらいいか悩む方に向けて、おすすめの方法を解説していきます。

採用ターゲットの設定方法はさまざまです。

それぞれ、自社に適した方法で、採用ターゲットを設定してください。

これから6つの方法をご紹介しましょう。

その6つの方法には、それぞれ共通する点があります。

それはどの方法も、まずは自社を省みること、そのうえで必要な条件を考えることが重要だといえる点です。

①経営計画・事業計画をもとに採用計画を立てる

自社の経営計画や事業計画をもとに、採用計画を立てるのも1つの手段です。

これからどのように仕事が拡大していくのかを把握し、どのような人材が必要になるのか予測します。

たとえ経験のある人材が入ってきたとしても、会社によってやり方はさまざまです。

雇ってからすぐに活躍できるとは限らないのです。

これが経験のない人材だった場合は、どのように育成していくのかを考えなければなりません。

そこで計画をもとに育成をしていき、将来的に重要な役割を担ってもらうための道筋を立てます。

将来的にどのような仕事に携わるのか知っておくことは、求職者からしても知っておきたい情報なはずです。

この採用計画を実施することで、採用ターゲットも徐々に絞られてくるはずです。

②「MUST」「WANT」「NEGATIVE」条件を洗い出す

「MUST」とは意味の通り、外せない条件を指します。

必要とする資格や必要最低限の経験はもちろん、性格などもここに含めます。

「WANT」は、必須ではないが可能であれば優先したい条件です。

「MUST」まではいかないが、あればうれしいというポイントがあればここに含めましょう。

最後に「NEGATIVE」は欲しくない人の条件です。

自社には合わないと考えられる人の条件を考えてみましょう。

未経験者が適さないという場合は、それが「NEGATIVE」に含まれます。

また、たとえばコミュニケーション能力が必要な職種であれば、コミュニケーションを取ることが苦手な人はここにあてはまります。

これらの3点を考えることで、かなり明確に採用ターゲットが絞られるはずです。

③ペルソナ設計を行う

「ペルソナ」とはもともと、心理学の用語で使われていたものです。

しかし、今回の「ペルソナ」とは架空の人物を想像して、その人の人物像を詳細に設定していくことを指します。

「ターゲット」と「ペルソナ」は混同されやすいのですが、「ペルソナ」の方がより詳細に、具体的なイメージを固めていきます。

簡単に「ペルソナ」の例をあげるとすれば、「40歳の男性で○○会社に勤めて8年、役職は課長で人事部所属」などです。

さらに彼はどのような仕事をしていたのか、会社でどの程度の重役を務めていたのかなど、可能な限り詳細なイメージを作り上げます。

これをどのように採用ターゲットに活かすのかというと、この「ペルソナ」で明確な人物像を作り上げることで、ターゲット層をより狭められます。

そしてこれをスタッフと共有し認識を合わせたり、求人に活かしたりすることで、求職者にも条件がより伝わりやすくなるというメリットが望めるでしょう。

④優秀な社員をリサーチして求める人物像を作り上げる

求める人物像を1から形成するのは、なかなか難しいことです。

しかし、ヒントは社内にあります。

自社に所属する優秀な社員が在籍しているとして、もしも同じような人が増えたら会社にとってうれしいはずです。

そういった参考にできる社員がいるのであれば、その人を参考に求める人物像を形成してみましょう。

実際に面談するなどして、リサーチを深めていくのも有効な手段です。

その人の経験や技術について聞くのも大切ですが、性格について知るのも重要です。

外に目が向きすぎていて、内側に目が向いていないということはよくあります。

つまずいたときには一度、社内に目を向けてみるのも良いでしょう。

意外なヒントや、気づかなかった事実が見つかるかもしれません。

⑤コンピテンシーモデルを作成する

コンピテンシーとは、仕事上の役割や機能を正しくこなすために個人に必要とされる知識・能力・技術パターンのことを指します。

コンピテンシーモデルを作成することで、結果を出すためには、どのような人材が必要なのか認識できます。

まずはモデルを構築するにあたって、自社の業務理解が必要です。

そのうえでモデル構築をするので、自社にしかない独自の理想的なモデルが完成するはずです。

要素としては、知識・技術面においての条件はもちろん、性格についての項目も出てくるでしょう。

確実に適していない性格と適している性格の人がいるはずなので、この認識を深めることは重要です。

優秀な社員をリサーチするという方法を先ほど述べましたが、このコンピテンシーモデルを作成する際にもそれが活かせると思います。

⑥STP法を用いる

STP法とは、ある3つの英単語の頭文字を用いて名付けられた分析の方法です。

それは、SEGMENTATION(セグメンテーション)・TARGETING(ターゲティング)・POSITIONING(ポジショニング)の3つです。

まず、セグメントとは市場の細分化を指します。

これはつまり、市場の全体像を把握するということです。

全体像を把握しなければ、自社があるべき立場を把握できないので、まずはここからでしょう。

次に、ターゲッティングは名前のままです。

セグメントを行ったあとに、自社がねらうべき市場を定めます。

最後にポジショニングとは、他社との違いを明確にして、自社の立ち位置について考えることを指します。

有名どころの企業と名を競ったところで、勝ち目はありません。

正しく自社の立ち位置を理解し、その企業にはないであろうメリットをイメージして武器にします。

STP法で分析を行ったうえで、採用ターゲットを考えると、自然と欲しい人材の理想像が構築できるでしょう。

採用ターゲット・ペルソナ設計の例

先述の「ペルソナ」について、よりわかりやすくペルソナ設計例をあげます。

氏名:〇〇 〇〇

性別:男性

年齢:22歳

学校:〇〇大学〇〇学部

部活:サッカー

家族:両親、兄(同居)

趣味:スポーツが好きなので、スポーツ観戦をしたり、運動をしたりと休日も外で過ごすことが多い。

性格:コミュニケーションが得意で、初対面の人にも積極的に話しかける。

企業に求める条件:スタッフ同士が仲良く、仕事のしやすい雰囲気のある職場

仕事で身につけたいスキル:マーケティング能力や経験しないとわからない細かなビジネスマナー

上記のように、ある程度の人物像を形成します。

これが細かくなりすぎると、ターゲットを狭めすぎてしまう可能性があるので、気をつけましょう。

氏名:〇〇 〇〇

性別:女性

年齢:21歳

学校:〇〇大学〇〇学部

部活:軽音楽部

家族:両親(現在は一人暮らし)

趣味:音楽が好きで、音楽イベントに積極的に参加し、趣味で楽器の演奏もする。

性格:周囲に気を配ることが得意で、飲食店のバイトリーダーとして後輩に指示を出していた。

企業に求める条件:自分の経験を活かしたいため、イベント企画に携わりたい

仕事で身につけたいスキル:イベント企画のノウハウ

上記の例は企業に求めている条件が特に明確になっています。

採用ターゲットとして設定するには少し条件を狭めすぎている感じもありますが、あてはまる人がいれば、すぐに応募してくる可能性があります。

このように自社が求める人材のペルソナ設計を行い、ターゲット設定に活かすのは効果的です。

なかなか求める人物像のイメージが浮かばないときなどは、ぜひ一度試してみてください。

採用ターゲットが決まったらコンテンツ・PRで魅力を伝えよう

採用ターゲットが決まったら、それをどのようにアピールしていくか考えましょう。

ただターゲットを絞るだけでは、誰も応募してきません。

いかにして、ターゲットとなる層の目に留まるように届けるのかが重要です。

インターネットが普及した今ではさまざまな方法があります。

世の中には情報があふれているので、目を引くポイントが必要になるのです。

他社と比べて代わり映えのしないような情報だと、その時点で見られない可能性が高くなります。

しっかり魅力が伝えられる努力をしましょう。

自社採用サイトの作り込み

基本的に自社ホームページをもっていると思います。

そこで、自社の採用ページをしっかり作り込みましょう。

求人サイトなどで自社の情報が目に留まり、興味をもった場合、大体の人が公式のホームページを閲覧すると思います。

ぱっと見たときに、欲しい情報がわかりやすいようにページを整えておきましょう。

情報がわかりづらく、信頼できない雰囲気を感じさせてしまうと、求職者は興味を失ってしまうかもれしません。

また、求職者が検索エンジンでキーワード検索をした際に、ヒットしやすいように対策をしておくことも重要です。

求職者がどのようなキーワードで検索をかけるのか想像して、そのキーワードを公式のホームページに含めておきましょう。

広告の活用

広告はもっともわかりやすいPRの手段ですが、紙面とWebの2種類が存在します。

紙面での広告は、わかりやすく信頼できるというのが利点です。

インターネットで見るよりも信頼感があり、人の目に留まる時間も長いと思います。

Web広告の場合、不特定多数に見られる機会があります。

情報量が多いインターネット上だと、見る人は多くても、ほかの情報に紛れてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

しかし、思わぬ場所に届いて、求めていたのとぴったりの人材が見つかる可能性もあります。

そこで、紙面でもWebでも手を抜かずにPRするのがおすすめです。

また、Web上では広告料金を支払えば、情報を目立つようにしてくれる場合があります。

SNSの活用

近年、急速に普及しているSNSでの宣伝は、特に若年層の目に留まりやすいです。

今ではSNSやっていない人よりも、やっている人の方が多いかもしれません。

SNSはお金をかけなくても情報発信ができるので、手軽にPRできます。

どのような情報が目に留まりやすいのかは、そのときどきのトレンドによって変わります。

流行に敏感であれば、非常に効果的な宣伝を行う可能性があるといえるのです。

また先述の通り、SNSでも料金を支払えば、投稿が目立つように計らってもらうことができます。

必要であれば利用しましょう。

SNSに慣れていない場合は、同じ業種の企業がどのようにアピールしているのか調べて、それを参考にするのもおすすめです。

まとめ

「採用ターゲット」の設定は、自社にも求職者にもメリットがあります。

もちろんターゲットを設定するまでには手間がかかります。

しかし、かけた時間以上の価値はあるはずです。

設定するための方法はいろいろあるので、やりやすい方法を使用してみてください。

そのうえで求人情報を発信して、応募が来るかどうか様子を見てみましょう。

反応がない場合はターゲットを狭めすぎている可能性があるので、少し見直してみてもいいかもしれません。

適度なターゲット設定ができていれば、良い人材がおそらく見つかるはずなので、焦らず待ってみましょう。

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