今回は私が今まで採用コンサルタントとして、お話させていただいた際の実例を用いながら、第二新卒採用のリアルをご紹介してきたいと思います。
第二新卒というワードはここ数年で一気に広がった印象ですが、背景としては新卒採用が売り手市場のため採用ができなかった会社や、超高齢化が進む中で自社の平均年齢が高まり、若手の採用を実施しようと検討している会社が増えたからではないかと思います。
第二新卒とは?
改めて、第二新卒とは一般的に学校を卒業後、一度就職をしたが数年以内に離職し、転職活動をする若手求職者を指します。
一般的には、入社後3年以内の離職者にあたり23歳〜25歳の年齢層を意味する事が多いです。
採用手法として取り入れている大きな要素としては
- 新卒採用がうまく行かなかった、早期離職が想定よりも多くなった
- 業績向上により通年にて人材確保が必要なケース
この2点が多い意見となるようです。
第二新卒ニーズが加速している理由
第二新卒というフレーズはここ数年で定着してきたと思います。「まず3年は働く」という概念の崩壊や時代背景に沿ったワードなのかとも思いますが、なぜ第二新卒採用が普及し定着するほどニーズが増加しているのかをご紹介していきたいと思います。
新卒採用の難航化
まずは新卒採用の難航化が考えられるでしょう。特に採用活動は戦略的に実行することが多く、若手は今後の会社の継続・発展に必要な人材と言えるでしょう。しかし新卒採用は時期が決まっているため、採用できなかった場合は翌年以降での採用でしか補えません。
加えて、売り手市場と少子高齢化社会という状況下です。リクルートワークス研究所の調査によると、2022年卒の大卒求人倍率は1.50倍。2021年卒の1.53倍から0.03ポイント微減したが、1.5倍台を維持し、底堅い結果となっております。※1
※1 大卒求人倍率調査(2022年卒)
https://www.works-i.com/research/works-report/2021/210427_kyujin.html
人気業界や有名企業であれば採用活動において優位性が高いですが、やはり認知度や知名度がない企業ですと、集客から入社まで苦戦することも多いです。
ただし経営計画や事業計画上、必要な人数は毎年決まっているため、補填という観点で第二新卒を視野に入れている企業も増えてきております。
早期離職による追加募集
前述したとおり事業計画に基づき人員計画を立てている中で、早期離職者が増えて当初の予定人数を下回ることがあります。そうなると事業計画および業績に関わるため、4月を待たずして入社いただける第二新卒への注目が集まっています。
実際にコロナウイルス感染症の拡大によりオンライン化が普及したため、入社後のギャップが生じることはもちろんのこと、リモートワークによるマネジメント・コミュニケーション不足や教育・育成不足によりスキルアップが見込めず、離職を希望する方もいらっしゃるようです。
そのため予定数の人材確保かつ若手という観点で、第二新卒採用を実施している企業が増加しております。
新卒採用との違い
新卒採用と比べてメリットとなる点は、以下が大きいです。
- 流動的に採用活動が可能
- 就業経験がある
1. 流動的に採用活動が可能
年間で採用計画し、4月に入社するまで不確定要素の多い新卒採用と比べて、業績や人員状況に応じて採用活動ができることが強みです。短期間で入社に至るのも、採用担当者としてはメリットでしょう。
特に急な人員増加や新卒の早期離職に伴う欠員で採用をされるケースや、業績向上に伴い急募をかけてチームを作る場合には適した採用方法だと思います。
2. 就業経験がある
2つ目も大きな違いと言える就業経験になります。離職のタイミングにもよりますが社会人としての基礎から教育する必要が少なく、即日で配属先で研修を進めながら戦力として力になってくれるケースが多いです。
また就業経験があるため、ある程度会社や組織、業務内容について大きくズレのないイメージで入社してくれることも期待できます。
中途採用との違い
次に中途採用ではなく第二新卒採用を行うメリットをご紹介していきます。
- 自社のカラーに染まりやすい
- 柔軟で適応力が高い
1. 自社のカラーに染まりやすい
中途採用だと前職の経歴や文化が色濃く残り、自分のやり方にこだわってしまう可能性があり、なかなかカルチャーフィットしにくいという点が挙げられます。
しかし、第二新卒であれば新卒1年目の会社を早めに離職しているため、文化や方針を尊重し業務に従事してくれる可能性が高く、新卒に近い感覚で育てることが可能です。
2. 柔軟で対応力が高い
職種やスキル特化の採用であれば、中途採用のほうが良いかもしれないですが、第二新卒採用では経験が少ないため、柔軟性、適応力が高さが期待できます。
場合によっては、業務幅を広げいろいろなことにチャレンジしてもらいコア人材として育成していくこともできるでしょう。
仕事における好き嫌いなども多くなく、人によっては早期離職をバネに意欲的に活躍を期待できる人材も多くいます。
第二新卒のデメリット
これまでは各採用方法との違い、その上で第二新卒のメリットをお話させていただきましたが、デメリットもあります。
- 早期離職の懸念がある
- 条件をや縛りが強い転職活動
一つずつ事例を用いてご紹介していきます。
1. 早期離職の懸念がある
第二新卒といっても職歴の長さはまちまちです。早い方であれば、入社数ヶ月での離職もあるため、自社に合わず早期離職する可能性は否めません。
また離職理由もさまざまで、思っていた業務や働き方と違うという理由もあれば、単に合わないやなれない環境へ順応しきれずストレスなどで退職してしまう方もいらっしゃいます。
改めて「どんな略歴で、なぜ早期離職をしたのか」は抑えて置かなければなりません。また、第二新卒向けの採用フローを設計することも、入社前のミスマッチを防ぐポイントになるでしょう。
2. 条件や縛りが強い転職活動
転職理由の中で、給与や休日、転勤などが理由で転職する方が一定数いらっしゃいます。
必ずしも全員ではありませんが環境や制度などを優先しすぎてしまい、働くことへのモチベーション管理が難しいケース、入社後のミスマッチが起こるケースは少なくないです。
エージェントを利用し採用活動をしている場合は、転職活動の本当の理由などを回収しながら面接で判断することが望ましいでしょう。また近年、就業体験などを選考フロー内に組み込みミスマッチを防ぐような活動を実施している会社も増えてきていますので、働くイメージと覚悟を持っていただくことは重要になるかと思います。
まとめ
第二新卒のメリットとしては、
- 時期を問わず採用活動・入社が可能
- 社会人の基礎を既に学んでいる
- 柔軟性が高い可能性があり、カルチャーフィットしやすい
デメリットとしては
- 前職同様、早期離職の可能性がある
- 転職理由によっては人材要件に合わない可能性がある
採用の方法やフローによっては見極めることが可能です。うまく行けば今後の若手採用の確保という観点で有効活用できる採用方法だと思います。
第二新卒採用が、気になる方は一度ご相談ください!