新卒をリファラル採用するメリットとデメリットは?実施する際のポイントも紹介

はじめに

新卒の学生を一般的な方法で選考して採用する際の問題点は、やはりそれにかかる費用ではないでしょうか。

新卒用の就活サイトを利用した場合、費用が発生するとともに、人材のミスマッチを防ぎにくいという側面があります。

しかし、リファラル採用であればそのような問題がクリアできるとあって、採用活動の1つの方法として注目を集めています。

今回はリファラル採用のメリット・デメリット、そして実施する際のポイントについてもまとめました。

リファラル採用とは?

リファラル(refferal)には「推薦」「紹介」といった意味があります。

リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を紹介してもらうやり方です。

もともと欧米で広く普及していた採用方法ですが、近年ベンチャー企業を始めとした日本の企業にも浸透しつつあります。

従来の「コネ採用」「縁故採用」の違いは、紹介される人が会社のトップと縁戚関係にあるかどうかです。

リファラル採用の場合は、社員なら誰でも紹介できますし、通常と同じ選考を受けます。

リファラル採用が注目されている理由

それでは、なぜ今日本でリファラル採用が注目されつつあるのでしょうか。

リファラル採用が注目されだしたのは、2010年代の半ばくらいからです。

それには労働人口の減少が背景にあります。

人材確保が以前より難しくなったうえに、終身雇用制度も崩壊し、定年まで同じ会社で働くことも減っているのが現状です。

しかし、リファラル採用であれば、ミスマッチによる早期離職を防ぐ効果も期待できるため、新たに注目を集めることとなりました。

新卒採用をリファラルで行うメリットは?

新卒採用をリファラルで行うメリットはいくつかあります。

特に新卒採用であれば、社員の大学時代の後輩などを紹介される場合が多くなっています。

そのため、紹介者は学生とまだつながりのありそうな、入社後数年の若手に限られていることも多いです。

その年の内定者から、新たに友人や知人を紹介してもらうこともあるでしょう。

企業側は新卒社員の募集広告を出さずとも、優秀な学生にコンタクトを取れ、大変コストパフォーマンスに優れた採用方法といえるでしょう。

採用コストを削減できる

リファラル採用を行う最大のメリットは、採用コストの削減です。

通常の採用選考を行うには、求人広告を出した場合の広告費・人材紹介サービスの仲介手数料などの費用が必ず発生します。

その金額は、無視できるようなものではありません。

会社説明会などの運営費用も同時にかかります。

しかし、リファラル採用であればそのようなコストはあまりかかりません。

リファラル採用で必要になるのは、学生を紹介した社員に支払うインセンティブと、採用活動で発生した交際費くらいのものでしょう。

紹介なので、採用ステップを複雑にする必要もあまりありません。

このように、リファラル採用は新卒採用にかかる費用を大幅に削減できるメリットがあります。

選考工程を省略できる

通常の採用選考では、エントリーシートなどの書類選考から始まり、三次面接くらいまでの選考過程を設けるのが一般的です。

応募してきた学生に、どれくらいの基礎能力があるかを把握するために学科試験を実施することもあります。

しかしリファラル採用であれば、自社の社員から紹介された学生なので、その人の基礎的な能力は、ある程度保証されていると考えて良いでしょう。

コミュニケーション能力や学力に関しては、特に問題ない人材であると最初からわかっているのです。

そのため、従来の一次面接や二次面接は省略しても問題はなく、責任者クラスが参加する従来の三次面接から選考を始められます。

複雑な選考過程を省略することで、大変スピーディーな採用が実現できるのです。

入社後のミスマッチを回避しやすい

従来の採用選考で問題になっていたのが、入社後のミスマッチでした。

採用サイトや会社説明会そしてOB・OG訪問でも、自社について伝えきれない部分が多く出てしまうのです。

しかし、リファラル採用であれば、実際にそこで働いている社員からの紹介なので、リアルな情報が伝わりやすくなります。

学生も大学の先輩など親しい人であれば、見ず知らずの採用担当者よりは、会社について質問しやすいはずです。

したがって、目につけた企業をとりあえず受けているわけではなく、企業についてよく理解したうえで、採用選考を受けていると考えられます。

入社後も先輩に知り合いがいると安心感もあり、会社にもすぐに溶け込めるというメリットもあるでしょう。

採用市場に出てこない人材を獲得できるかもしれない

就活サイトや人材紹介サービスは、すべての学生が利用しているとは限りません。

そういったものを利用していない学生の中にも、大変優秀で将来有望な人がきっといるはずです。

リファラル採用であれば、そういった採用市場に出てこない人材を獲得できるチャンスもあります。

もし、社員の後輩などに大変優秀であるけれど、一般的な就活をしていない学生がいれば、ぜひ紹介してもらいましょう。

また、エントリーシートの資格欄や学科試験だけでは紹介しきれない、高度な技術や技能をもった学生もいます。

そういった学生に直接声をかけられるのも、リファラル採用のメリットといえるでしょう。

学生側も先輩から直接紹介してもらったのであれば、選考を受けやすいはずです。

離職率を低減できる

新卒採用におけるリファラル採用は、前年やその前年に就活を経験して入社した社員による紹介がメインになります。

社員が紹介するのは自分の後輩や友人なので、自社について念入りな説明ができるでしょう。

一般的な会社紹介よりも、かなり詳細な説明を受けていると考えられます。

そうすれば、社員と学生双方のエンゲージメントが高まるでしょう。

エンゲージメントが高い会社であれば、社員が皆、会社や組織を信頼しています。

そのため、会社が成長するために、自分の仕事に一生懸命取り組みます。

会社を信用し、やる気にあふれている学生であれば、入社後すぐに退職することもあまり考えられません。

このように、リファラル採用には学生の早期退職を回避しやすいというメリットがあります。

新卒採用をリファラルで行うデメリットは?

新卒採用をリファラルで行う際には、デメリットも考慮しなければなりません。

良いことずくめのように見えますが、自社の社員による紹介ということで、注意しなくてはならないこともあるのです。

リファラル採用は縁故採用と異なり、自社の社員から紹介された学生が、全員採用されるわけではありません。

採用選考があるため、残念ながら紹介された学生が不採用になる可能性もあるのです。

そのため、紹介者と被紹介者の人間関係にも注意しておく必要があります。

候補者がかたよるおそれもある

新卒採用でリファラル採用を取り入れる場合、人材のかたよりには注意しなくてはなりません。

社員の紹介となると、どうしても同じ大学や同じサークルの出身になってしまいがちです。

その結果、特定の大学や学部そしてサークルの出身者ばかり集まってしまい、同じような人材ばかりがそろってしまうおそれもあります。

同じようなことを専攻してきた人ばかりが集まっても、ある分野ばかり特化した集団になってしまい、企業としての成長が停滞しかねません。

また、たとえば体育会系の社員ばかりが集まってしまうと、それまでの社内の雰囲気も変わってしまうおそれがあります。

さまざまな個性をもった人材がそろわなくなってしまうおそれもあるのは、リファラル採用のデメリットです。

紹介者・被紹介者のフォローが求められる

リファラル採用は「紹介」という形を取っているだけで、きちんとした採用選考が行われます。

したがって不採用になる学生も当然出てくるのです。

しかし、紹介という言葉のイメージからどうしても採用を約束されたイメージがあります。

そのため、不採用だったときの紹介者と、被紹介者の人間関係に気をつけなければなりません。

「採用されるかと思ったのにだまされた」「期待を裏切ってしまい立つ瀬がない」など、それまでの人間関係が壊れてしまうおそれもあるのです。

そういったことのないように、会社は事前に紹介者と非紹介者に採用を約束するものではないことを、よく説明しておかなければなりません。

採用後も人員配置に注意しないと、学生時代からの知人で固まって排他的になることも予想されます。

紹介者が自社について正しく理解している必要がある

リファラル採用では、自社の社員が採用の最初の窓口となるのです。

被紹介者である学生は、主にその社員から情報収集することになります。

しかし、紹介する側の社員も入社後1年から2年しか経っていない若手社員のことも多く、自社に関してまだきちんと理解していない部分もあるかもしれません。

そういう場合は、自社のことがうまく学生に伝わらず、入社後のミスマッチを引き起こすおそれもあるので、注意が必要です。

また、社風や労働環境については、その人によってとらえ方は異なります。

紹介者の主観による話がそのまま事実として、被紹介者に伝わってしまうこともあるのです。

会社は被紹介者に自社について、客観的な情報提供する場を用意しておくべきでしょう。

紹介者が退職した場合にあわせて会社を辞めやすい

リファラル採用においては、被紹介者は紹介者について入社したと自負している場合もあります。

そこで紹介者である先輩社員が退職してしまった場合、その人の紹介で入った社員のモチベーションが下がってしまうおそれも考えなければなりません。

何か会社に不満や問題があったのだろうか、紹介で入社した自分は大丈夫なのだろうかと、不安になってしまう社員もいるでしょう。

最悪の場合には、退職した社員に続いて、自分も辞めてしまうケースの想定をしなければなりません。

紹介者と被紹介者が示し合わせて一気に退職した場合は、急に深刻な人材不足に陥ってしまいます。

紹介者が退職した場合は、被紹介者のケアもしっかり行い、モチベーションの低下や離職を防ぎましょう。

新卒採用をリファラルで行う際のポイントは?

新卒採用をリファラルで行う際には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

このポイントを押さえておかなければ、効率よく採用活動を進められません。

従来の採用方法しか知らない人たちに、友人や知人の紹介を頼んでも、責任を感じてしまい、社員の負担になることも考えられます。

そうなるとなかなか人材を紹介してもらえず、リファラル採用自体が失敗してしまうこともあるでしょう。

そのため、社員が気軽に後輩などを紹介しやすい土壌の整備が大切です。

リファラル採用を行っていると周知させる

リファラル採用には現役社員の協力が不可欠です。

まずは、リファラル採用を行っていると周知しなければなりません。

紹介したい人がいる場合の手順などもしっかり告知しておけば、紹介へのハードルも少しは下がるでしょう。

実際に紹介する社員は若手が中心となります。

研修や入社式など、若手社員全員が集まる行事で発表するのがおすすめです。

そこで人事部長や経営陣が自らリファラル採用の意義を説明すれば、若手社員の「会社へ貢献したい」というモチベーションを上げることができます。

そもそも、現役社員からの紹介がなければリファラル採用は成立しません。

まずは、特に対象となる若手にリファラル採用が行われていることを知ってもらうようにしましょう。

紹介しやすい環境を整える

リファラル採用の実施を知っても、すぐに自分の知人を紹介しようと思う社員はなかなかいないかもしれません。

就職はその人の一生を決めるくらい重要です。

「本当に紹介してしまっても良いのだろうか」と迷う気持ちも十分理解できます。

そのため、まずは紹介しやすい環境を整えてから、リファラル採用をスタートさせましょう。

後輩を会社に呼んで職場見学会を開催するなど、気軽に自社に顔を出してもらえるようなイベントの開催をすると効果的です。

職場見学会などライトなイベントであれば、社員も紹介したい人を誘いやすいですし、被紹介者である学生もたくさん集まる可能性も高まるでしょう。

まずは、気軽に参加できそうなイベントを開催して、そこに後輩を呼べるようにしましょう。

採用したい人材のイメージを共有する

「新卒ならどんな人でもかまわないから採用したい」という会社はあまりないはずです。

したがって、紹介者となる若手社員には、採用したい人材のイメージを事前に伝えておかなければなりません。

資格やスキルだけでなく、求めている人柄などについても明確で詳細な基準を提示しておきましょう。

会社の欲しがっている人材がどういったものかわかれば、社員としても紹介しやすくなるはずです。

採用したい人材のイメージに合わない学生を紹介されても採用は難しいですし、紹介したのに採用されなかったら社員もあまり気分は良くないでしょう。

欲しい人材のイメージを最初から伝えておけば、そのような問題は起こりにくいはずです。

欲しい人材のイメージの共有は必須と言えるでしょう。

インセンティブ制度を設ける

実際に自分の知人を紹介してくれて、採用までに至った社員にはインセンティブを支払う必要があるでしょう。

社員に支払うインセンティブを加味しても、リファラス採用はコストが低く、経済的な採用方法といえます。

また、全社員が集まる場で紹介した社員を表彰したり、リファラル採用で入社した社員のインタービューなどを社内報に載せたりするのもおすすめです。

自社がリファラル採用を取り入れていることや、人材の紹介を歓迎していると全社員に向けて発信しましょう。

会社側からリファラル採用の話が何度もあれば、社員側としても後輩などを紹介しやすくなりますし、インセンティブがあればモチベーションも上がります。

リファラル採用は社員の協力なしでは成立しません。

まとめ

リファラル採用は自社の社員に知人を紹介してもらう採用方法です。

従来の採用方法より選考工程を減らし、コストを削減できることから近年注目を集めています。

紹介なのでミスマッチを減らせるというメリットも、多くの企業で採用されつつある秘訣といえるでしょう。

ただし、紹介者と被紹介者の人間関係のフォローや、自社について正しい知識が必要になるなどデメリットもあります。

リファラル採用を成功させるには、社内への周知から始まるといっても良いでしょう。

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