共感採用を検討中の人事必見!共感採用のメリットとデメリットを解説

はじめに

新たな人材を応募する際は主に仕事内容や給与、勤務先、福利厚生などの情報を中心に公開する企業が多いのではないでしょうか。

しかし最近は社風や文化、ビジョンなど、本来であれば働いてみないとわからない情報を公開して、人材を募集する企業が増えています。

このように条件面以外の情報に理解を募る方式のことを「共感採用」といい、優秀な人材を求めている企業や、採用者とのミスマッチを防ぎたい企業から注目されています。

この記事では共感採用の意味やメリット・デメリット、実施する際のポイントについて解説しますので、採用方法で迷っている担当者の方はぜひ参考にしてください。

「共感採用」を実施する企業が増えつつある

一般的に企業が新しい人材を募集する際は勤務先や労働時間、給与、福利厚生など待遇面に関する情報が提示されているのをよく見かけます。

応募者にとっては、毎月得られる収入が自分の希望と合っているかどうかだけではなく、仕事と私生活のバランスを知るために必要な情報です。

ただし条件面だけを提示した場合、職場やスタッフの雰囲気、企業のビジョンは伝わりにくいのが事実です。

ほかにも企業独自の文化に対して合わないと感じた場合は退職を選択されるリスクもあります。

そのため最近では、条件面以外の情報を公開する企業が増えているのです。

このように、企業のビジョンや社風などに理解を求める採用方式のことを「共感採用」と呼びます。

早期離職を防ぎたい企業、モチベーションの高い人材を求めている企業にとって、さまざまなメリットを得られると注目されている採用方式です。

共感採用のメリットとは?

共感採用が自社の目的に合っているかどうかを知るためには、実施することで得られるメリットについて把握しておくことが大切です。

共感採用を選択した場合、主に以下のようなメリットがあると考えられます。

・意欲のある人材を見つけやすい

・採用者とのミスマッチを防ぎやすい

・会社の魅力をわかりやすく伝えられる

・離職率が下がりにくい

これまで「採用してみたら思ったよりもモチベーションが低かった」「社風が合わないと離職する社員がいた」などの悩みを抱えていた企業にとっては、多くのメリットを得られる方法といえるでしょう。

ここからは、一つひとつのメリットについて詳しく解説していきます。

メリット:意欲のある人材を見つけられる

共感採用を選択する1つ目のメリットは、意欲のある人材を見つけやすい点です。

給与などの条件面だけを提示して人材を募集する方法の場合、仕事に対する向き合い方や考え方、同僚との関わり方まで見抜くことは難しいでしょう。

面接の段階で、モチベーションが高い人材だと感じて採用した場合であっても「実際に働いてみたら、想像していた仕事内容ではなかった」などの理由で、やる気を失ってしまう可能性もあります。

一方共感採用は、条件面以外の価値を詳しくアピールできます。

そのため、本来であれば実際働いてみないとわからない詳細な仕事内容、現在企業が目指しているビジョンなどを伝えることが可能です。

応募者に入社後の姿をリアルにイメージしてもらえるため、「ぜひ挑戦してみたい」という意欲のある人材を効率的に集められます。

メリット:採用のミスマッチも避けやすい

共感採用を選択する2つ目のメリットは、ミスマッチを避けられる点です。

給与などの条件面だけを提示して人材を募集する方法の場合、求人情報に掲載する内容や面接で伝える内容によっては、応募者が知りたい情報をすべて伝えられるとは限りません。

特に仕事内容や社内の雰囲気、社員共通の習慣などについては入社してみないとわからない範囲です。

あとから「給与などの条件面は魅力的だけど働きづらい」「社内イベントが苦痛」などの不満が出てしまう可能性もあります。

このようなミスマッチは結果的にモチベーションの低下、離職などにつながりやすいため、応募前から入社後のリアルな雰囲気をイメージしてもらうことが重要です。

共感採用はスタッフの声を用いて、社内共通の文化を公開するなど、条件面だけでは伝わらないリアルな日常を、事前にアピールできます。

結果的に入社後のミスマッチを回避できるため、応募者にとっても早く職場になじみやすかったり、自身の性格に合った社風で働けたりするメリットを感じてもらえます。

メリット:会社の魅力をアピールしやすい

共感採用を選択する3つ目のメリットは、会社の魅力をアピールしやすい点です。

給与などの条件面だけを提示して人材を募集する方法の場合は、外側の情報だけしか伝えられません。

会社の内部を見せられない結果ミスマッチが発生して、離職率が高くなる、意欲の高い人材を採用しにくいなどのデメリットが生じてしまいます。

企業や部署によって雰囲気やビジョン、習慣は変わるため、会社の魅力をアピールして応募者を増やしたい場合は、公開する内容を工夫する必要があります。

共感採用は、条件面以外に以下のような内容を伝えることが可能です。

・スタッフ同士の仲が良く、周囲にわからないことを相談しやすい雰囲気がある

・入社後はチームでウェルカムランチを開催するなど、新人へのサポート体制が充実している

・研修と同時進行でプロジェクトの業務を手伝ってもらうため、仕事を早く覚えられる

・プレゼンスキルを磨きたいスタッフのため、朝礼で好きなことについて発表する時間を設けることが可能

一般的には、面接で応募者から質問されなければ伝えられない内容を企業側から公開するため、会社の魅力をわかりやすくアピールしながら、応募者の不安も解消できます。

メリット:離職率も下がる

共感採用を選択する4つ目のメリットは、離職率の低下を防げる点です。

給与などの条件面だけを公開する採用方法の場合、入社後のミスマッチが起こりやすいです。

結果的に思っていた職場ではなかった、社内の雰囲気が自分には合わなかったなどの理由で、入社後すぐに離職してしまう可能性があります。

たとえば「会社の公式サイトでは自由な社風がアピールされていたけれど、実際は先輩や上司に気をつかって行動を制限される場面が多い」など、応募者が自主的に入手した情報で、イメージが作り上げられているケースは特に注意が必要です。

共感採用の場合は社内のリアルな情報を事前に伝えられることから、モチベーションの高い人材、条件面以外の特徴に魅力を感じている人材が入ってきやすいといえます。

結果的に長く会社に貢献してくれる人材と出会えるため、離職率を防ぎたい企業におすすめの採用方式です。

共感採用のデメリットとは?

多くのメリットがある共感採用にも、いくつかの注意点があります。

採用方法の選択ミスで応募者が少ないなどの事態を防ぐためにも、まずは共感採用のデメリットについても事前に考えておくことが大切です。

共感採用を選択すると、主に以下のようなデメリットがあります。

・自社の魅力や理念を言語化しないといけない

・採用までに時間がかかる

・社内の多様性が薄くなる

・待遇面で会社を選んでいる層は集まりにくい

ここからは一つひとつのデメリットについて詳しく解説します。

自社の目的に合った採用方法がわからないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

デメリット:自社の魅力や理念を言語化しないといけない

共感採用を選択する1つ目のデメリットは、自社の魅力や理念を言語化する必要がある点です。

給与などの条件面を提示するだけの一般採用であれば、事実をただ公開するだけで済みます。

ただし共感採用の場合はもともと決まっていない無形のものを言語化しなければならず、アピールする内容を決めるだけではなく「どのように伝えるのがベストなのか」という疑問も解消する必要があります。

たとえばスタッフ同士の和やかな雰囲気をアピールしたい場合も、言語化する内容によってイメージは大きく変わるでしょう。

ただ「仲が良くて和気あいあいとしています」とシンプルに表現するのか、「休憩時間はチームで集まってランチをする習慣があり、入社したばかりでもなじみやすい」とさらに深い表現をするのかなどの選択肢があります。

このように無形のものを言語化する場合は手間や時間もかかります。

つまり、すぐに働ける人材を探している企業にとっては、スピーディーさに欠けてしまうのです。

デメリット:採用までに時間がかかる

共感採用を選択する2つ目のデメリットは、採用までに時間がかかる点です。

一般採用の場合は勤務先や労働時間、給与などの条件から応募者が通いやすさ、都合の良さなどを判断するため、比較的応募者を集めやすいメリットがあります。

一方で共感採用の場合は条件面以外のリアルな社内情報がプラスされるため、応募者自身が合わないと感じる確率も高くなります。

実際に応募者の数自体が少なくなりやすいため、採用までに時間がかかりやすい点に注意が必要です。

急な離職者が出て、すぐに人を雇わなければならないなどの事情がある場合は、条件面だけを提示した方が、より多くの応募者の中から選べます。

共感採用に魅力を感じている担当者の方は、採用したい期限を明確にしたうえで、慎重に検討する必要があるでしょう。

デメリット:社内の多様性が薄くなる

共感採用を選択する3つ目のデメリットは、社内の多様性が薄くなる点です。

条件面に魅力を感じてくれた人材の採用をする場合、さまざまな性格や考え方をもった人が集まります。

社内の雰囲気とミスマッチが生じやすい点は懸念されるものの、凝り固まっていた習慣が変わりやすかったり、新しい意見を取り入れるきっかけになったりするメリットがあります。

共感採用の場合は、会社の理念や文化に賛同してくれる人材が集まりやすいといえるでしょう。

そのため、結果的にいつまでも雰囲気が変わらず、多様性のない社風になりやすい点は注意が必要です。

これまでになかった、新しいアイデアを提供してくれる存在が必要な企業にとっては、望んでいる人材に出会えない可能性があります。

まずは求めている人物像を明確にしたうえで、自社に最適な採用方法を検討する必要があります。

デメリット:待遇面で会社を選んでいる層は集まりにくい

共感採用を選択する4つ目のデメリットは、待遇面で会社を選んでいる層が集まりにくい点です。

一般採用の場合は、給与や福利厚生などの待遇面に魅力を感じた人が集まりやすいため、多くの選択肢から採用者を決定できる魅力があるのです。

一方で共感採用の場合は、待遇面にプラスして会社の内部に関するさまざまな情報を公開します。

そのため、いくら魅力のある待遇を用意したとしても、応募者が集まりにくい可能性はあります。

結果的に、少ない応募者の中から採用するかどうかを検討しなければならず、求めている人材に出会えない、採用までに時間がかかるなどの点に注意が必要です。

まず待遇面の魅力で応募者を集めてから、面談で会社のビジョンや雰囲気などの話をしたい場合、一般採用が適している可能性もあります。

共感採用を実施する際のポイント

実際に共感採用を実施する場合、どのような流れでアピールポイントを決めていけば良いのでしょうか。

また採用時にどのような点に注意しなければならないのでしょうか。

共感採用の場合は伝え方によって、応募者側のイメージは大きく変わってしまうため、内容の選定が重要です。

さらに「会社の理念などに共感してくれているから」といって採用を決めてしまうと、結果的にスキル不足で、指導に時間がかかってしまう可能性もあります。

求人情報を出す前に、社員を含めて意見を聞くとともに、採用する基準を明確にしておきましょう。

ここからは共感採用を実施するうえで、注意したいポイントについて詳しく解説します。

社員から魅力を聞く

共感採用でアピールする内容を決める際は、社員から職場の魅力をヒアリングするのがおすすめです。

会社の上層部や採用担当者だけで内容を決めてしまうと、現場の感覚とずれが生じて採用者とのミスマッチが起きてしまったり、客観的なアイデアしか出てこなかったりしてしまいます。

実際に現場で日々働いている社員に意見を聞けば、上層部は把握していなかった、細かい部分の魅力についてもアピールできるチャンスが生まれます。

たとえば社員全員にアンケートを提出してもらう、面談をして魅力を聞いてみるなどの方法がおすすめです。

「社員からのリアルな声」と称して求人情報に掲載すれば、応募者にとっても有益な情報となります。

数多くの求人情報の中から注目してもらうためにも、公式サイトなどには掲載されていない魅力を選んでみてください。

会社としてのビジョンを社員全員で共有する

共感採用を実施する場合、求人情報を出す前に、会社としてのビジョンを社員全員で共有するのがおすすめです。

社員に共有したり、意見を聞いたりせずに会社のビジョンを公開してしまうと、現場とのギャップが生まれてしまいます。

結果的に採用者とのミスマッチにつながり、離職してしまうリスクがあるため、共感採用として公開するビジョンと、現場の認識にずれがないか事前にチェックしておきましょう。

待遇面よりも、会社の考え方などを重要視して入社を希望した人にとって、ビジョンの相違は大きなストレスになってしまいます。

「聞いていた話と違う」と言われてしまっては現場の社員も困ってしまいます。

事前に情報を共有して、考えを統一しておくと良いでしょう。

魅力の伝え方を工夫する

共感採用を実施する際は、魅力の伝え方を工夫しましょう。

「社員同士仲が良く働きやすい」のようにシンプルな情報だけでは、それが事実なのかなのかどうか、疑ってしまう方もいるかもしれません。

「実際に入社したら違うかもしれない」という不安感を与えないためにも、どのような表現、言葉で魅力を伝えたら良いのか、じっくり考える必要があるポイントです。

魅力を伝えるときにおすすめなのが、具体性をもたせることです。

たとえば社員同士仲が良い点をアピールしたい場合、「休憩時間にランチを取りながら情報交換することによって絆を強め、結果的にプロジェクトを成功させた」など具体的なエピソードを用いてみましょう。

ストーリー性があることによって、内容の信ぴょう性も高まるため、会社の魅力が伝わりやすくなります。

応募者のスキルも確認する

共感採用を実施する際は、応募者のスキルも確認しましょう。

共感採用では会社の理念やビジョン、文化に対する共感度の高さが注目されやすいです。

そのため、結果的にスキルや、経験値の低さを重要視せずに選んでしまう可能性があります。

実際に業務で貢献してもらうためには、最低限のスキルが必要なケースもあるでしょう。

スキルや経験値を無視して選んでしまうと、結果的に指導時間が長くなり、教育担当の社員に負担がかかってしまいます。

早く戦力になってくれる人材を採用したいと考えている場合は、共感度だけではなく、応募者自身の能力についてもしっかり確認しておきましょう。

仕事内容に適した人材を選ぶためにも、まずはどんなスキルが最低限必要なのか、現場の社員にヒアリングするのがおすすめです。

面接をしっかり実施する

共感採用の場合は、面接をしっかり実施しましょう。

なぜなら、言葉や履歴書上の志望動機で「共感します」と言っていたとしても、それが本心なのかどうか見極めるのは難しいからです。

特にネットや雑誌に掲載されている内容だけでは、相手に本質が伝わっていない可能性もあるため、入社後のミスマッチを発生させないためにも、入念な面談が必要だといえます。

面接を丁寧に行うこと、イメージだけで良さそうな人材と決めてしまわずに、人柄を見ることなどが重要なポイントです。

まずは面接でどのようなポイントに共感してくれたのかをヒアリングし、さらに理由を問いかけてみましょう。

特に理由やビジョンもなく共感している場合、入社してからモチベーションの低さに気づいてしまう可能性があります。

面接を担当する方は、事前にヒアリング項目や、チェック項目を明確にしておくのがおすすめです。

共感採用を行うならメリットとデメリットの把握が大切

共感採用とは給与などの待遇面ではなく、企業のビジョンや社内の雰囲気など、社員しか知らない情報をアピールする方法です。

最初からモチベーションが高く、企業の文化になじめる人材を集めやすいため、最近では多くの企業から注目されています。

ただし応募者の人数が減ったり、多様性が薄くなったりなどの注意点があるため、事前準備をしっかりすることが大切です。

まずは共感採用のメリットとデメリットを把握して、自社に適した方法なのかどうかを見極めることから始めましょう。

さらに社員の協力を得ながらアピールする内容、必要なスキルを絞り込み、丁寧な面接で人柄を十分に確認しましょう。

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