【既卒採用のメリット・デメリット解説!】導入すべき企業のポイントとは?

ポテンシャル採用枠の代表例が新卒採用です。日本では従来一括採用という手法で、新卒採用を行っている企業が数多くあります。しかし近年の労働人口の減少により、有効求人倍率が高まり採用が難航している中小企業が増えてきております。そんな中で既卒採用という新卒の概念にとらわれずに、若手の確保をする企業も増えてきているため、今回は既卒採用のメリット・デメリットなどをご紹介してまいります。

既卒採用とは?

「既卒(既卒者)」とは、高校、専門学校、大学などの学校を卒業後、一度も就職したことがない人(社会人経験がない人)を採用することを意味します。明確な定義はないものの、卒業後3年以内が目安と言われております。フリーターという属性にも類似します。やはり既卒となると「内定がもらえなかったのではないか」や「定職につかずフラフラしている」などとマイナスなイメージが有るかと思いますが、一概には言えないのが実際です。

例えば

  • 在学中に就活をしていなかった
  • 就活はしてみたけれど、積極的になれず、そのまま卒業してしまった
  • 公務員試験に受からず、卒業してしまった
  • 内定を得たが、合わないと思い内定を辞退してしまった
  • 学校卒業後、資格学校や専門学校に通っていた
  • 海外留学などで卒業時期がほかの学生と異なり、新卒就活ができなかった

など、各求職者によって理由は異なります。そのため「既卒=良くない」という理由で弾いてしまうことは、機会損失になる可能性があります。また既卒者は「一括採用」をとっている日本の文化に近く、欧米では大学卒業後に就職をすることが普通という文化もあるためです。

最近では「大学中退者」も、既卒者の一つを占める属性です。経済的な事情などで自主退学した中退者は、経済的な事情もあり中退後すぐにアルバイト等の非正規雇用で就業するといった事例もあり、中退者を含む既卒者だから優秀ではないとは言い切れないです。

逆を取ると、市場としてはブルーオーシャンとなっている既卒者を若手(ポテンシャル)採用に取り入れることは、難航している市場では手段の1つとして有効と言えるでしょう。

第二新卒との違い

第二新卒との大きな違いは、「社会人経験の有無」です。第二新卒の場合、一度新卒で就職をし3年以内に離職をしている方を指します。そのため社会人としての教養をお持ちの方であるという前提になります。

既卒者の場合は正社員として就職しておらず、フリーターや就活継続者にあたるため社会人経験がなく、新卒採用と同様の認識になります。

そのため自社としての教育や受け入れ体制によって、採用の選択が変わってくるでしょう。
第二新卒については、コチラにてご紹介しておりますので、気になる方はご確認ください。

既卒採用のメリット

既卒採用のメリットをご紹介していきたいと思います。

若手採用市場においては競合が少ない

既卒採用という概念で採用活動している企業は少なく、新卒採用の中で既卒者も受け入れ可能程度で行っているケースが多いです。しかし企業視点でいうと、前述したとおり「既卒=優秀でない」という色眼鏡をかけてしまっていたり、負の理由を抱えているのではないかという概念から採用活動でも新卒の割合が圧倒的に高い状況です。

しかしながら一概には言えないため、あえて既卒を狙いに行くことで新卒採用同様の若手を確保することが可能になります。

スキルの高い方を採用できる可能性がある

既卒者の中には、士業を目指されて資格勉強をされていた方や海外留学帰りの方など、何かしらのスキルや資格を取得している方がいらっしゃいます。就職活動におけるコアタイムに別の事へ注力されていたため、既卒という枠組になってしまったもののポテンシャルがある方はいらっしゃいます。

ただし確実性には欠ける点はあるかと思いますが、新卒という枠組だけに絞らず柔軟な対応を行うことで、機会損失を防ぐことができるでしょう。

新卒採用との違い

新卒採用との違いをメリット・デメリットを織り交ぜてご紹介してまいります。

すぐに入社して働いてもらえる

既卒者の採用において入社時期を当事者同士で話し合い決めることができるため、即日の入社も見込めるという点です。「すぐにでも入社して欲しい」というニーズがある場合、新卒採用と既卒採用を比べると、スピード感は段違いになります。

逆説的に考えると、都度入社が可能になるため新卒採用のように一括で教育することが困難となります。そのため社内の体制であったり、オンボーディングの仕組みができていない場合、工数となってしまいます。そのリソースや体制があるか否かが、既卒採用ができるかどうかに繋がってきます。また既卒者を第二新卒同様で採用してしまったり、現場との認識がずれてしまうことも総合的に見るとリスクに繋がります。

しっかりと社内の状況に応じて、取捨選択していきましょう。

母集団の増加

サービスや商品が一般向けではない場合や、企業名の認知度や知名度が高くないといったケース、市場においてシェアをとっている大手企業がいるといった場合、公に出している求人情報だけですと集客が難しいといった企業であれば、間口を広げることによって若手採用を推進することができるでしょう。

新卒と比べると競争の激しい大手企業や有名企業では書類選考を突破するのが難しい状況になるので、既卒者をターゲットにすれば大手企業や有名企業が採用競合にならない可能性が非常に高くなります。

導入すべき企業のポイント

ここより導入すべき企業のポイントをご紹介してまいります。

若手の採用を強化している

まずは若手の採用を強化している企業です。前述したとおり、少子高齢化が進みベースの労働人口の減少が進む上に、若手層の母数が減少していきます。会社を継続していくには、担い手が必要になってくることを考えると若手の採用を強化し、会社の中核を育てることが中長期的に重要になっていきます。

若手採用の1番のメリットとしては、会社に新しい風を吹かすということもそうですし、カルチャーや風土の継承を行ってくれるため、考えや価値観を享受し会社を次世代へ繋げるパイプ役でもあります。

その中で激化している新卒採用市場だけではなく、既卒や第二新卒、長期インターンシップの雇用など、複合的に取り入れることによって、採用難を回避していきましょう。

新卒採用を実施している

新卒採用をしている企業であれば、既卒や第二新卒者を視野にいれておく必要があるかと思います。アフターコロナによりオンライン化が一気に普及しました。その中で現在起きている問題としては、早期離職者です。Web上でしか会社を知れず、思っていた会社と違ったという意見や業績や社内体制の変更で当初伝えていた内容と乖離した業務内容・勤務体系などにより、離職が相次いでおります。

採用において人数を確保したから成功ではなく、定着し活躍しているかが人事として見ておくべきポイントです。会社は経営計画より棚卸しした人員計画を立てるため、人員計画がマイナスになってしまうと業績や経営に直撃します。

そのためには広い視野を持って、若手という観点で採用活動を行うことである種のリスクヘッジにもなり得ます。想定外の事が起きても大丈夫なように、採用活動におけるカードを複数検討しましょう。

まとめ

既卒者・第二新卒者に対する、懸念概念がある企業はまだまだ多い状況です。しかし求職者に負があるとは限らないことを念頭に置いておきましょう。

時代は働き方や働きやすさを推奨している中で、自社の体制を見直さず採用において耐久性の高い人材要件に絞り込むことは、会社を継続していく上でリスクがあるかと思います。だからこそ、時代に柔軟になり、様々な手法を検討して事業を伸ばす推進力を人材という観点でご検討いただければと思います。

 

稲葉 愛採用コンサルタント

株式会社HR teamの内定者として長期インターンを1年半実施し、同社に入社。インターン生時代から採用コンサルタント業務の部署立ち上げを行い、年間100社以上の採用のコンサルティングを実施。現在は、株式会社HR team全体の法人営業部門の立ち上げを行い、新卒採用だけでなく、インターン、中途採用など多岐にわたる採用に関するコンサルティング業務を行う。

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