【事例紹介 vol.9】選考の歩留入り解消?面接の型と採用基準の明確化とは

今回は株式会社 情報戦略テクノロジー さんに新卒採用において注力された面接についてお伺いしてまいりました。22卒採用より新しく面接でのポイント作りやブレない軸など詳しくご紹介していきます。

株式会社  情報戦略テクノロジーとは?

「業界構造を改革し、顧客のIT投資効果を最大化させる」ことをミッションに、SI(システムインテグレーション)業界の多重下請け構造改革に挑み続ける企業。大手優良企業のみを顧客として、システム開発の内製支援に取り組む、堅実な成長企業。

インタビュー協力者

藤原さん

2016年に情報戦略テクノロジーにエンジニア職として新卒入社。未経験からのスタートだったが現場での活躍を買われ、新規事業の立ち上げを任されることに。

2019年には人事部門立ち上げに抜擢され、22卒にて採用担当初年度ながら採用責任者を任される。初年度にして5名→20名程度の採用規模まで拡大させる。

ミッション・ビジョンを実現するための採用活動

22卒で新卒採用の責任者に着任した私は、「新卒採用を通じて、ミッション・ビジョンを実現すること」を最重要テーマと考えました。弊社は「業界構造を改革し、顧客のIT投資効果を最大化する」というミッションを掲げており、その実現に寄与してくれる人材の獲得に注力しました。

従来は経営陣が決めた「求める人物像」を元に採用活動を進めていましたが、より高い成果を出すためにも自分たち採用メンバーが主体となる必要があると考えました。

そこで22卒の採用計画を検討する上で2つのことに取り組みました。

1、中長期の人員計画の立て直し

会社のミッション・ビジョンを踏まえて、5年後どのような状態になっているべきか? 3年後はどうか?と考えていきました。自分たちのビジネスモデルの特徴や、想定される組織構成も踏まえて検討しました。

一方で、現実的な受け入れ可能人数も考え、5年後まで見据えた人員計画を作り、22卒では何名採用があるべきかを考えました。その結果、従来は5~10名程度の規模でしたが、中長期の人員計画を踏まえると20名程度の採用が必要という結論に至りました。

2、過去の採用活動の振り返り

今までの延長線で取り組んではいけないと思い、過去の採用における良かった点・改善点をきちんと振り返ることから始めました。

求める人物像のデータを定性・定量ともに洗い出し、部長陣や経営陣と何度もディスカッションしました。議論の結果、人材要件は存在していたが、抽象度が高くて人によって認識が異なっている点に課題を設定して、改めて人材要件を言語化しました。

また、採用には現場社員にも面接官・リクルーターとして関わってもらいます。彼らからも過去の採用に関してヒアリングしました。すると「面接の評価基準のズレ」「面談の目的認識のズレ」などが見えてきました。

こういった「属人化」が大きな課題であると考えて、20名採用を実現する上では「仕組み化」された採用活動に進化させることが重要だと考えました。

属人化から仕組み化へ

特に属人化されていたのは面接でした。面接官によって評価がズレると再現性は生まれず、採用規模の拡大には繋がりません。そこで、候補者に対する「評価」の仕組み化に注力しました。

少し話は逸れますが、世界トップ企業のアマゾン社では、採用活動において明確な評価基準があり、誰が面接しても同様の結果になるような仕組みがあります。

アマゾンのバリューである「リーダーシップ・プリンシプル」に基づいて、面接官たちが妥協せずに高い基準で候補者を見極めています。皆が同じ基準を高いレベルで持つからこそ、採用のクオリティが担保されているそうです。

引用:「アマゾンの面接術ーー感覚的でない、明確な「採用基準」とは?」文春オンライン

このような仕組み化を目指そうと考えたこともありましたが、一方で成長企業であり、変化の多い弊社は、狭めすぎると機会損失に繋がるという懸念がありました。そのため、面接の「観点」と「レベル感」の設定に注力しました。

観点の一致

まずは評価観点を揃えていきました。
面接官によって観点が異なっていると、途中までは順調に見えても最終面接で歩留まりが悪くなってしまうことがあります。

経営陣とディスカッションして作成した人材要件をベースに、候補者にどのような質問をして、どのような観点で評価するのか明確にしました。

レベル感の一致

観点が一緒でも結果が異なることがありました。その理由を分析した結果、求める「レベル」が異なっていると分かりました

例えば「将来の目標を持っているか」に対して、「こんな人材になりたい」という将来像を持っていればOKとするか、より具体的に落とし込んで「将来像を実現するために、こんなキャリアステップを歩んでいこうと考えている」と考えていればOKなのか。レベル感の統一をすることで初めて面接官同士のズレが解消できると考えました。

標準化における大きな壁

とはいえやはり、いくら言語化できたとしてもそれが運用されなければいけません。大事なことは「決めること」ではなく「成果を出すこと」。そのためには社内のステークホルダーが共通認識を持てる状態にする必要があります。

ところが、新卒にはポテンシャルを求めているために、観点・レベル感はどうしても定性的になってしまいます。言葉で伝えただけでは同じ認識を持ちにくいと思い、「観点」「レベル感」を一致させる施策を講じました。

共通認識を作るための施策とは?

選考が開始する前に、関係者を集めて勉強会を実施しました。

面接官に対しては、一方的に評価観点を伝えるだけでなく、内定者に協力してもらい模擬面接をして、お互いの認識を確認する場も作りました。

また、リクルーターに対しても、どんな人物を求めているのか伝え、その上でどんな動機付けをしてもらいたいか共有する研修を実施しました。4P(Philosophy、Profession、People、Privilege)を洗い出すワークで会社理解も深めました。

面接官・リクルーターを合わせると総勢50名ほどの規模だったため、実施するだけでも大変でしたが、採用成功のためには必要だったと感じています。

今後は、動機付けを強化するために、リクルーターのスキルアップに注力していきます。

まとめ

採用や人事担当者であれば、選考の歩留まりや評価のズレを感じたことはあるのではないでしょうか?属人的な採用をマンパワーだけで乗り切ることは、今後自社に合う方を採用する上では困難になってくるでしょう。

組織や採用を活性化させるには、トップダウンだけでない採用基準を持つことも大切だと思いますので、参考にしてみてください!

稲葉 愛採用コンサルタント

株式会社HR teamの内定者として長期インターンを1年半実施し、同社に入社。インターン生時代から採用コンサルタント業務の部署立ち上げを行い、年間100社以上の採用のコンサルティングを実施。現在は、株式会社HR team全体の法人営業部門の立ち上げを行い、新卒採用だけでなく、インターン、中途採用など多岐にわたる採用に関するコンサルティング業務を行う。

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