はじめに
人材の採用において、企業が必要とする一定水準の人材を確保するためには、それなりの戦略が必要です。
その戦略の1つが母集団形成です。
母集団形成は企業のニーズに合った特徴をもつ学生と、その数を確保することが求められます。
母集団を形成するため、企業と応募学生の懸け橋となる手法には数多くの媒体があります。
ただ多くの学生が利用している媒体だからといっても、それぞれの媒体にはメリットもありデメリットもあることは理解しておきましょう。
ここでは学生と企業を結ぶ媒体の1つである、マッチングイベントのメリットとデメリットについて解説します。
こちらの解説を読む前にこちらの記事は読んでおいてください。
マッチングイベントのメリット
マッチングイベントとは、企業が求職する学生を集める媒体の1つです。
一般的なマッチングイベントで情報をアピールする企業数は、ほかの媒体よりも少ない傾向です。
ただイベント会社が学生を集めてくれるので、企業側は手間をかけず効率的に集客が望めます。
ある程度集まった数の学生と実際に対談できます。
知名度は低いものの企業力に自信がある、中堅企業やベンチャー企業にとっては有利な媒体といえるでしょう。
参加1回で20~30名と同時に接触できる
マッチングイベントは採用側の企業がアクションを起こさなくても、出展企業に興味がある学生をそれなりに集客できます。
一般的にイベント各回に20~30名ほどの学生が参加します。
企業側は参加するだけで、必然的にすでに母集団形成ができているわけです。
マッチングイベントは小規模の企業の合同説明会と、一次面接が一緒になったような媒体です。
参加した学生全員に企業情報を説明できます。
ニーズに合った人材と出会うために、企業はまず学生の目に留まらなければなにもはじまりません。
そのため企業の知名度もある程度は必要です。
マッチングイベントはすでにある程度の人数が集客されています。
うまく活用すれば知名度のないベンチャー企業でも学生の注目を引き、自社の魅力を直接アピールできるでしょう。
学生を近い距離で評価可能
学生をより近い距離で評価できることも、マッチングイベントのメリットの1つです。
たとえば学生のグループワークやディスカッションを見られたり、自己PRを聞けます。
また座談会やグループワープを実施し、近い距離で学生とコミュニケーションを取れるのは、マッチングイベントの大きなメリットです。
就職活動に積極的でかつ、就労意欲のある学生がよく利用する媒体です。
参加する企業側も事業目的や企業力を、しっかりとまとめて事前準備して参加しましょう。
セグメント型のマッチングイベントでターゲット学生のみと接触可能
マッチングイベントにはセグメント型のイベントがあります。
セグメント型のマッチングイベントは、たとえば学生を「IT限定」や「女子学生限定」など企業のニーズに合わせて開催しています。
それぞれのニーズに合わせたイベントを開催し、学生との出会いをより効果的にしました。
セグメント型のイベントは、企業が求めるターゲットに該当する学生が集まっています。
そのため手間をかけず、ニーズに合った学生のみと接触できるのです。
マッチングイベントのセグメント型のイベントは、小規模ながらも企業のニーズに合った学生だけを集めた母集団がすでに形成されているわけです。
ニーズに合った学生を選択する労力が節約できる分、一人ひとりとじっくりコミュニケーションを取れます。
マッチングイベントのデメリット
学生の数と質が適切であれば、それだけ成功する確率の高い効果的な採用活動ができます。
そのための媒体はさまざまで、どの媒体にもデメリットはあります。
就労意欲の高い学生と直接その場でコミュニケーションをはかれる、マッチングイベントにもデメリットがあるわけです。
デメリットを恐れる必要はありませんが、知っておくと回避もできます。
頭に入れて成功率の高い効果的な採用活動をしてください。
採用できなくても費用はかかる
マッチングイベントに参加するためには、イベント1回につき費用がかかります。
費用を出してイベントに参加し、仮に希望に合った学生と巡り合ったとしても、必ずしも採用に結びつくとは限りません。
一般的にマッチングイベントはチケット制が多く、イベントに参加して1名も採用できなかったとしても参加費用はかかります。
費用を払ったからといって、採用の確実性が保証されるわけではありません。
費用を払って参加しても成果なく、そのイベントを終える場合があるのはマッチングイベントのデメリットでもあります。
デメリットを回避するために参加時期や自社のニーズに合ったセグメント型のイベントを選んで、イベントに参加しましょう。
参加する時期により集客学生の人数が変わる
マッチングイベントは参加する時期によって、集客学生の人数に変わってしまいます。
たとえば就活早期に開催されるイベントであれば、集客学生の数は確かに多いものです。
その時期と比べると就活後半になるにつれて、参加する学生の数が少なくなるのは当たり前です。
就活後期に優秀な人材が残っていないとは一概にはいえませんが、集客数が少ないとそれだけ可能性も低くなります。
たとえば体育会系の学生を採用ターゲットにしている企業は、リーグ戦や大会など部活のスケジュールを把握しておくことも大切です。
彼らが就活していない時期にイベントへ参加しても、採用ターゲットとする体育会系学生とのめぐり合わせは望めません。
人事の労力がかかる
マッチングイベントで優秀な人材を見つけるのは、ある意味で体力勝負という面があります。
一般的にイベントの開催時間は3時間~5時間です。
その時間は集まった学生とコミュニケーションを取り、評価をしなければなりません。
評価次第でより詳しく面談をしたい学生がいれば、さらにコミュニケーションを取ります。
そもそも企業のアピールをして理解してもらうのは、体力が必要です。
決められた時間内に企業の戦略となる人材を見つけ出すには、かなりの体力が必要です。
イベントの時間はアンテナを最大限に張り巡らせて学生とコミュニケーションを取り、人物像を見極めなければなりません。
ほかの方法に比べて労力がかかる点はデメリットでもあります。
マッチングイベントで成功する秘訣
メリットデメリットをご紹介させていただきましたが、どのような企業でも成功法はあります。今回はこの記事限定で、秘訣をご紹介してまいります。
リアルだからこそ伝えられる情報
マッチングイベントの多くは合同説明会などのイベントに比べ、出展企業を事前に公開しているケースが少ないです。そのため企業を目的に参加することよりも、興味のある企業があれば選考を受けたいと思う方が多いです。そのため形式上の説明だけではなく、人柄や創業の背景、歴史などプレゼンテーションが活きるような構成で臨みましょう。
特別ルートを用意する
参加者特典は候補者を次回選考に進めるために有効的な手段です。通常の説明会へ参加となると、知っていただいただけの候補者にとってはハードルが高くなります。そのため、イベント参加者限定の座談会や面接兼面談のように、徐々に自社を知っていただけるような選考フローを用意することで、特別感を演出し接続率を高めることができます。
参加時の戦略だけではなく、参加後どのように繋げていくかの戦略まで見越して参加することが差別化につながります。
登壇者の選出
前述した通り、プレゼンテーション力が必要になるイベントですが、もう一つ大事なことが、誰がプレゼンテーションするかも大事です。例えば新卒や内定者のように、距離の近い社員へ声がけをし、一緒に参加してもらうことや、採用職種の現場社員をアサインしリアルを知っていただくことで、数時間の間に働き方や働く雰囲気を知っていただくことも効果的です。
候補者の中でも、なぜ入社したのか、実際に入社してどうだったのかは気になる項目のため、話せる社員と一緒に出店することも作戦の一つとして有効です。
まとめ
採用活動ではターゲットとなる学生がいつ、どのような媒体を使って就職活動をするのか、把握する必要があります。
それによって企業側も最適な手法と、採用のスケジュールを立てて事前準備しましょう。
企業が求める一定水準の質をもつ学生と、小規模ながらもある程度の人数が集客されているマッチングイベントは、学生をより近い距離で選考できる媒体の1つです。
ただしデメリットもありますので、参加する時期を考えて上手に活用してみてください。