若手雇用をする上で、新卒採用や既卒・第二新卒が上げられます。しかしここ数年で、ベンチャー企業を中心に長期インターンを雇用し、マッチング度が高ければ、そのまま入社いただくようなスタイルも増えてきました。
就職活動という限られた時間だけではなく、長期インターン生として大学のうちから就業経験を持つ意欲が高い方を、自社で育成する手法を今回はご紹介してまいります。
長期インターンシップとは?
「有給で長期間(約6ヵ月以上)実際のビジネスの現場で就業すること」です。 社員とほとんど変わらない基準で働くことが求められており、実務経験やスキルを早い段階で身に付けることや、会社の風土や組織に馴染むことが期待されております。
長期インターンシップを導入する背景
長期インターンシップを導入する企業は、どのような目的で検討・導入しているのかをご紹介してまいります。
企業の特徴としては大きく2つに分かれます。
採用目的
まず1つは採用目的です。長期インターンシップを通じて、仕事内容や組織体制、カルチャーマッチなどを図れることは、定着・活躍の観点でリスクなく採用ができるという点と、超早期より意欲的な学生と接点を持ちやすい点で、導入されているケースです。
前者の場合はオンボーディングや研修制度など教育リソースが不足しているないしは、新卒採用を始めるかどうか迷われている、新卒採用を行ったけど定着に至らなかった企業に見られるケースです。
事前に自社の内部を見ていただける分、双方にとってミスマッチが起こりにくい構造となります。
実際に1ヶ月以上のインターンシップに参加した企業への承諾は47%を超え、離職率も低いとされております。
引用:学生・企業の接続において長期インター ンシップが与える効果についての検討会 調査報告
後者の超早期より接点を目的とする場合です。この場合は、どうしても就職活動時期を、従来の採用スケジュール(大学3年生夏〜大学4年生夏)で行うと、競合や採用弱者になる可能性があるためです。
特に中小企業、ベンチャー企業は、大手、有名企業に埋もれてしまい集客ができないといった課題や、時期を遅らせて再就活を狙うといった手法でリカバリーするような話を耳にします。
しかし継続的かつ優秀な人材の確保を目的とした際には、早いうちから競合の少ない中で勝負をする企業が増えてきております。そのため長期インターンシップより、採用募集を欠けることで少ないπの中から、認知を獲得し自社を受けてもらえる可能性を高める手法としても取り入れられています。
リソースの確保・ブランディング
特にスタートアップ企業に多いケースですが、事業をスケールさせたり、ピボットする可能性を視野に入れ若手を採用したいが、早期離職者とは相性が合わないといった際に、優秀な大学生に裁量権を持って働いていただくといった、新卒採用以外を目的とした長期インターンシップもあります。
またそのような機会を提供し、自社を知って頂く機会創出を狙ったブランディング的効果もあります。
働き方や雇用形態が多様化する中で、正社員雇用のリスクを下げ、若手かつ能動的な人材を雇用することで、事業や会社の拡大を狙った人事戦略の1つとして取り入れられています。
長期インターンの採用で必要なことは?
採用を実施したことない・雇用したことない場合は、雇用後までイメージすることが大事です。オンボーディングや給与形態、インターン参加後のキャリアや、自社採用につなげるための導線など、目的に応じて入社後の流れを整備する必要があります。
上記を踏まえた上で、必要なことをご紹介していきます。
1. 目的の確認
どのような採用活動でも「目的」は重要になります。特に長期インターン採用であれば、双方の目的の一致や合致することが望ましいでしょう。企業側の採用目的は前述したとおりですが、学生側の目的も併せてご紹介していきます。
- ビジネスマナーや社会に出るための知識獲得
- 新たなつながりの獲得
- 選考・入社を検討している
- 就活を有利にするため
詳しくはこちらの記事を参照ください。
学生が求めるものや目的に応じて自社で提供できるかどうかは、短期的な退職を軽減させるともに、働き続けるモチベーションに繋がります。
また面接などで目的を確認することで、どのような視点を持ち合わせているのかも知っておくことができるようになります。ターゲットが大学生になるため、経験やスキルがないとなると、素養が重要になります。成果を上げる・上げない、目的を持っている・持っていないと区分けをした際に、自社ではどの範囲を必要とするのかを面接などから見極めれるようにするためにも「目的」を明確にしましょう。
2. ターゲット選定
採用ターゲットを選定することも同様に必要となります。新卒採用時と異なり、就職先という観点で企業選びなどを行っていないため、見る観点や視点を少し変える必要があります。
事業理解や志望動機などの優先順位よりも、人柄や素養、組織にフィットするかなどを重視し、志望動機や理解度の高さを最重要要素に置くことは、あまりおすすめしません。
就活生と違い、長期インターンシップを行う母数が少ないため、どちらかというとターゲットを絞り込みすぎず、ポテンシャル・育て甲斐がある方を採用できるように、情報整理や魅力付け、社内体制を整えていきましょう。
3. 採用方法の選定
採用方法は他の採用方法に比べるとまだサービス自体は多くなく、媒体かエージェントが主流になります。また掲載費、採用費などでコストの掛かるタイミングも異なるため、費用感も含めて検討しましょう。
また地方在住学生に強いや高学歴に強いなどカラーもあるため、情報収集は大事です。
また現在の若者はマーケティング用語で「Z世代」と呼ばれ、インターネットよりもSNSを利用し情報収集する傾向にあるため、通常の媒体だけではなく自社のSNSに力を入れてみることも効果に繋がりやすいです。実際に当社リアステージでは、Wantedlyと拡散ツールとしてTwitterを利用し、3ヶ月で20名以上の長期インターン性の採用成功しております。
Twitterを利用した採用方法は以下の記事でご紹介しております。
長期インターン採用のデメリット
長期インターン採用を行う上でのデメリットやリスクをご紹介してまいります。
ネガティヴな印象を持たれる可能性がある
社内コミュニケーションや体制次第では、企業に対して悪印象を持たれかねません。実際に営業職として長期インターンを行ったところ「罵詈雑言」をかけられたや、セクシャル・ハラスメントに近いコミュニケーションを取られたなどという声もありますまた公私混同したコミュニケーションを、不快と捉えられてしまうこともあるでしょう。
長期インターン採用の場合、採用担当・人事担当者以外にも事業責任者クラスで採用を行うこともあるため、より一層統合しにくい部分のため、細心の注意を払うことを注意喚起しましょう。
自社採用につながるとは限らない
就職活動に向けた準備期間として、長期インターンを経験している学生は少なくありません。また長期インターン経験は、数社行う方も一定数いらっしゃいます。理由としては、学びたいことが明確になる、現在のインターン先で学べることは学びきったからというケースは、2社・3社と移っています。
そのためには長期的に働いてもらうための、キャリアや経験の設計、自社を魅力つけするフローや選考に上げるタイミングなど、採用戦略を立てる必要があります。
保守的な採用は淘汰されていく
慣習的な採用活動は実績があり心理的安全性を感じるかと思いますが、時代の変化を汲み取り、採用方法や採用ターゲットを検討・策定することは、現在の人事、採用担当に求められるスキルでしょう。
インターネット検索よりもSNS検索が増えていき、大多数ではなく個人にフォーカスのあたった情報を好む現代の若者を知ることで、若手採用および長期インターンの採用成功に繋がります。
まとめ
長期インターンシップの採用をご紹介させていただきました。この採用方法は人事や採用担当だけで意思決定できる範囲ではなく、現場社員や組織全体的に影響を与えます。そのため即日で意思決定し動けない採用方法ではありますが、新しい当たり前になっていく可能性があります。
従来の情報提示だけの採用ではなく、内部を見せた採用方法をご検討ください。